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ギター初心者がこれからギターを始めるために 21 歪み/ディストーションについて知っておこう


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歪み/ディストーションについて知っておこう

エフェクターにあまり興味がなくても、「歪み」に関しては知っておく必要があります。

なぜなら、エレキギターと「歪み」は切っても切れないものだからです。

また、一口に「歪み」といってもいろんな段階があって、それを知らないとせっかく購入したエフェクターが使い物にならないという悲劇も起こり得ます。

ですから、まだギターを持っていなくても「歪み」に関しては先にある程度知っておくことが重要です。

ひずみ?ゆがみ?

まず最初に「歪み」と書いてどう読むか?

音楽用語としては「ひずみ」と読みます。

「ゆがみ」とも読めますが、音楽の世界ではその読み方はしません。

余談ですが、「ひずみ」と読むのを分かっていてわざと「ゆがみ」と読む中二病ギタリストもたまーにいます。

恥ずかしいので感化されないようにしましょう。

 

 

歪みって何?

そもそも「歪み」とは何かというと、ノイズのことです。

あるいは音響的に正しくない(エラー)状態のことです。

漢字を分解すると「不正」となっているところからもそれが分かります。

 

そもそも、音響の世界ではいかにしてこの「歪み」を出さないようにするかが最大の問題でした。

音楽を聞いたとき、音が割れていたり歪んでいたら嫌ですよね?

ですから、音響機器は基本音が歪まないように設計されています。

ではエレキギターと「歪み」はどのようにして出会い、ここまで発展したのか?

こちらの動画でギターと歪みの歴史を紹介しています。

www.youtube.com

全編英語(中国語字幕)です。

短い動画ですが、かなりしっかり取材しているのが伝わってきます。

内容をざっくり解説すると、

 

そもそも

「歪み」はレコーディングにおいて敬遠され、リスナーに不快感を与えるものだった。

 

1940年代

ギターアンプが持つ「歪み」の性質に気づき、その音とエレキギターがマッチすることから、あえて歪んだ音でプレイするギタリストが登場。

まだエフェクターとしての「歪み」はない。

壊れたアンプを一時的に修理する過程で、本来そのアンプになかった歪みが偶然生まれることもあった。

 

1950年代

ギタリストは自分好みの歪みを生み出すため、わざとスピーカーのコーンに穴を開けたり、カミソリで傷をつけたりしていた。

 

1960年代

初めてコンパクトエフェクターとしての「歪み」(Fuzz)が発売され、アンプを壊さなくても歪みが得られるようになった。

その後ジミ・ヘンドリックスがFuzzを愛用、独特のギターサウンドを構築。

 

1970年代以降

数え切れないほどの「歪み」が様々な機材の組み合わせや奏法によって生み出される。

 

 

歪みを横文字にすると

「歪み」を横文字にしたときなぜかいろんな表現があって、初心者の人はそこが分かり辛いのではないかと思います。

では「歪み」を表す英語を書き出してみましょう。

 

distortion(ディストーション)

「歪み」の最も適切な英訳。

 

crunch(クランチ)

本来は「噛み砕く」という意味。

音楽用語としては「歪み」に入る。

 

overdrive(オーバードライブ)

本来は「過剰運転」という意味。

音楽用語としては「歪み」に入る。

 

-------

 

lead(リード)

リードギターを弾くための歪みという意味。

たまにそういう表記がされているときがある。

 

dirty(ダーティ)

歪んでいない綺麗な音をcleanと呼ぶのに対し、歪んだ音をdirtyと呼ぶ場合もある。

アメリカ人がよく言うが日本ではあまり使われない。

 

high-gain(ハイゲイン)

とても強い歪みのことをこう呼ぶ場合もある。

 

下三つは置いておき、ディストーション、クランチ、オーバードライブについて以下サウンドの違い(歪みの違い)という観点からご説明します。

 

 

歪みの量

ディストーション、クランチ、オーバードライブは、それぞれ歪みの量や強さで分類できます。

弱い方から、クランチ<オーバードライブ<ディストーションという順番になります。

クランチ

最も弱い(クリーンに近い)歪み。

弱く弾くとほぼクリーンな音、強く弾くと軽く歪んだ音になるのがクランチの特徴です。

ただ、クランチといっても幅があるので、本当にクリーンに近いものと、オーバードライブに近いものなど、いろいろな音色があります。

以下全てにおいて言えることですが「このエフェクターを使うとクランチの音が出る」といったものは基本ありません。

弾き方やセッティングの幅、機材の組み合わせでどうとでも変化します。

 

クランチサウンドが聴けるジャンル

50年代のロック、ロカビリー、ファンク、ブルースなど。

オーバードライブ

クランチよりやや強い歪み。

本来はアンプを過剰運転(ヴォリュームを上げすぎる)させたときに得られる歪みのことを言ったらしいです。

現代ではアンプ云々ではなくオーバードライブというサウンドがあり、「overdrive」と銘打ったエフェクターが数多く発売されています。

もちろんアンプで作ることも可能。

現代のギター用機材でオーバードライブさせたから壊れるということはまずありません(それを見越して設計しているので)。

歪みとしては最も汎用性の高いサウンド。

 

オーバードライブサウンドが聴けるジャンル

ロック全般、ブルース、ポップスなど。

 

 

ディストーション

語義的には「歪み」全般を指す英語だが、音楽的には「強い歪み」のこと。

機材によってはアンプのみで作れない場合がある。

また、クランチやオーバードライブ用のエフェクターでは作れない場合が多い。

主に80年代以降のハードロック、メタルなどで聴ける強い歪みだと思って間違いない。

また、2000年以降のラウドミュージックやニューメタルの強い歪みもディストーションと呼ぶ。

 

ディストーションサウンドが聴けるジャンル

ロック、メタル、ハードロック、ニューメタルなど。

 

それぞれのサウンドはこの動画で確認できます。

www.youtube.com

引き算はできるが足し算はできない

歪みについて知っておきたいのは、引き算はできるけど足し算はできないということ。

例えば、エフェクターとしてクランチ、オーバードライブ、ディストーションがあるとしましょう。

ディストーションペダルでディストーションよりも弱いクランチやオーバードライブの音を作ることはできますが、クランチやオーバードライブペダルでそれらよりも強いディストーションの音を作ることはできません。

ですので、いろんな歪みの音が作りたいと思ったらディストーションを持っておくと便利だと言えます。

逆にほんのちょっと歪んでくれたらそれでいいという人は、クランチかオーバードライブで十分でしょう。

 

 

何で歪ませるかは自由

歪みはアンプでもエフェクターでも作れます。

ではどっちが正解かというと、どっちでも構いません。

アンプでちょっとだけ歪ませておいてさらにエフェクターで歪みを足すことも可能です。

アンプの歪みだけで音を作るのもありでしょう。

機材の使い方は自由であり、そこがギターの楽しいところです。

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