「音楽で成功したい」と考えている人はたくさんいると思います。
横浜ギター教室にもそういった方が定期的に来られます。
成功の定義はとりあえず置いておくとして、音楽で成功するための方法はとてもシンプルで誰でもできます。
誰かの役に立つことをすればいいだけです。
これはスピリチュアルな話ではなく、普通のことです。
誰かの役に立てば必ず報酬が生まれます。
また、そういう人を見ると応援したくなります。
その応援は時として経済面でのサポートや人材の紹介などにつながります。
そうすると、自分の活動がより充実していきます。
製造業やサービス業であれば、ターゲットを絞り、そこで困っている人や状況を発見し、解決する何かを提示すればいいとわかります。
問題は、音楽でどうやって人の役に立つかです。
ここが異常なほど難しいというのが芸術全般に言えることでしょう。
そもそも音楽に「人の役に立つ」という概念があんまりありません。
結果そうなってればいいなーと思っている人はいますが、ロックにしろクラシックにしろ、音楽はどこか反社会的なところがあります。
だから「人の役に立て」と言われても具体的に何をしたらいいのか見当もつかないという人がほとんどでしょう。
「人の役に立ちたいんなら音楽なんかやってねーわ」と怒る人もいるかもしれません。
しかし、ちょっと考え方を変えてみれば「人の役に立つ」という方向性は見えてきます。
まず、音楽で何かをするとき、主語を自分にしないようにしていきましょう。
「主語を自分にする」とは、「俺はこう思う」「私はこうしたい」といったように、自分の価値観や考えに従うことです。
その主語を他人に置き換えてみましょう。
すると必ずそこに疑問が生まれてきます。
例えば、ある曲を練習しているとしましょう。
主語を自分にすると「俺はこう弾きたい」「私はこう弾くべきだと思う」となります。
まあ、当たり前といえば当たり前でしょう。
しかしそれでは自己満足になる可能性が高いです。
そこで主語を変えてみましょう。
例えば主語を「私」から「リスナー」にしてみます。
すると『リスナーは……どう弾いて欲しいんだ?』となるはずです。
最初から「リスナーはこう弾いてほしがっているはずだ!」と断定はできないでしょう。
あるいは主語を「この曲」としましょう。
すると、『この曲は……どう弾いてほしがってるんだろう?』と混乱してきます。
最初から「この曲はこう弾いてほしがっている!」と断定できる人はもうプロです。
このように、自分ではない誰か(が作った曲)に満足してもらうためにはどうすればいいんだろう? と考えることができれば、音楽を通じて人の役に立つという行動につながります。
主語を自分以外の誰かに置き換えることで他者や社会が見えてきます。
リスナーや観客は何を欲しているのか、何を欲していないのか、ある曲をカヴァーするとき、その曲のファンは何が聴きたがっているのか、あるいは何にうんざりしているのか、社会はロックやクラシックに何を求めていて、何を求めていないのか、教室の生徒は何を求めているのか、いないのか……
そのニーズに応えることが人の役に立つということです。
例えば弾いてみた動画を観ていて、自己主張ばかりが見えてきたらうんざりしますが、自分がその曲に求めている要素が出ていると「おお! それが聴きたかったんだよ!」となりますよね。
人をそういう気持ちにさせられたらもう役に立っていることになります。
動画ならその報酬として登録してもらえるでしょう。
これも小さな成功だと言えます。
最後に付け加えておくと、僕が言っていることは理想論でもないし、修行のようなものでもありません。
成功するためには人の役に立たないといけない、そのためには一旦我欲は捨てないといけないということです。
そうして音楽は人のために行い、それで稼いだお金は我欲を満たすために使って構いません。
ただ、我欲を満たすために音楽をしてもたぶん成功はしません。
なぜなら、他人の欲を満たすためにお金を出したりサポートしたいと思う人はいないからです。