近年、DTMが浸透し、楽曲のアレンジが二極化している気がします。
ひとつはジェットコースターのような楽曲。
とにかくサプライズに次ぐサプライズでリスナーを絶対に厭きさせないぞという意気込みに満ちた曲。
ざっくり言うとヒャダイン系でしょう。
こちらは10年代の成功者に多いです。
もうひとつはコピペ曲。
これは僕の造語ですが、ひとつリフやフレーズ、メロディなどができればそれをまるでコピペしたかのように同じものが延々と続く楽曲。
全く同じリフが8小節続き、やっと新しいセクションに来たと思ったらまた同じものが8小節……。
アマチュアに圧倒的に多いです。
こういった楽曲は、退屈すぎて聴いてられません。
コピペ曲を作ってしまう要因は、音楽の聴き込みが足りないことです。
音楽への愛情が足りないと言ってもいいでしょう。
ある楽曲の、本当に素晴らしいところ、革新的な部分はうわべだけでは理解できません。
相当聞き込んで、コピーしてみて、弾き込んで、しかも他の楽曲と比較してはじめて見えてきます。
そうして見えたものはたったひとつのコード、たった1音のメロディの運びだったりします。
それらをきちんと吸収せずに表面だけで理解したつもりになっていると、いざ自分でつくるときに、パーツをお手軽にコピペしただけでよしとしてしまいます。
ディティールの重要性が分かっていないからディティールに凝ることができないのです。
DTMでの作曲はそのコピペ精神を完璧にサポートしてくれます。
そうしてお手軽コピペ楽曲が量産されていきますが、退屈なので身内以外誰にも聴いてもらえません。
アレンジや作曲に詰まっている人は、一度ここ5年ぐらいのヒット曲を徹底的に研究し、メロディとコードを全部書き出してみるといいと思います。
もちろん、イントロやフックなども小節数だけでもいいから一度ちゃんと数えてみましょう。
今まで考えもしなかったことが必ず見えてきます。
僕は以前「J-POPのツボ」という本を書く際、J-POPを徹底的に聴いたことで音楽への理解がかなり深まりました。
また、アレンジの目の付け所などもわかってき、それが横浜ギター教室でのレッスンに役立っています。
どんなに自分がつまらないと感じていても、ヒット曲には必ずどこか学べる要素があります。
それは1つのコードだったり、たった1音だったり、小節数だったり、ほんのささいなところです。
そうしたディティールをきちんと回収し、引き出しに入れておくと必ず何かの役に立ちます。
それをせずに、表面だけをさらっとなぞり、分かったつもりになっていると、後で必ず手痛いしっぺ返しを食らいます。
追記 この記事を書いた後に思ったことです。