八幡謙介ギター教室in横浜講師のブログ

ギター講師八幡謙介がギターや音楽について綴るブログ。

意識の持ちようで瞬時にギターが上達するという具体例


八幡謙介ギター教室in横浜

僕は十数年前からギターを弾く際の身体操作に着目して研究してきましたが、ある時期から意識についても考えるようになりました。

というのは、運動の前に必ず意識の発動があるからです。

ただ、意識というものは見えないだけになかなか捉え辛く、自分で試すことはできてもレッスンに落とし込むことはあまりできませんでした。

しかし、最近ちょっとずつ意識について教えることができるようになりました。

あるコードから次のコードに移るとき、手がもたつくという現象があります。

仮にC→Gと移るとしましょう。

このときよくあるのが、Cの4拍目を捨てて早めにGに移るという方法。

確かにそうするとちょっと余裕を持ってGのフォームを作ることができますが、Cの4拍目で一瞬音が消えてしまい、音楽的にいびつになってしまいます。

かといって、Cの4拍目もしっかりと演奏するとGに移る時間が短くなり、間に合わずにGが遅れてしまう……

そこで、いかに素早くCからGに移るかが問題となります。

第一段階としては、身体操作を訓練します。

今回は主題ではないのでここは端折ります。

この段階で解決できればいいのですが、できない場合は意識に問題があります。

 

コードの形はもう完全に覚えていて、手や腕も脱力できている。

それなのになぜかコードからコードに素早く移れない……

その理由は、次のコードが来た瞬間にそのコードをイメージするからです。

Cを弾いているときは最後まで『今Cを弾いている、弾いている…』と考え、Gが来た瞬間に『よし、Gが来た!』と考えるから遅れるのです。

そこで、次のように意識を変えます。

 

今度はCを弾き始めた段階(1拍目)でもう次のGをイメージしておきます。

イメージするとは、Gの形を指板上で見ておくということです。

Cを弾き始めた瞬間『次はこの形(G)に行くぞ!』とイメージしておくのです。

すると不思議なことに、あんなにモタついていた手が、すーっと自然に、かつ素早く(でも急いではいない)Gに移行し、押さえられています。

 

冷静に考えれば、既にCを押さえているんだから、もうそれは忘れてもいいはずです。

それなのに小節の最後の最後まで『今はC、今はC…』と考えていても仕方ありません。

だったらさっさと次のコードをイメージした方が音楽的にはスムーズになります。

ただ、そうすると今鳴っている音と頭の中が異なるので、最初は違和感を感じるかもしれません。

だから常に今弾いているコードをイメージしたがるのでしょう。

 

改めて考えると、音楽を演奏するミュージシャンは、上記のようにイメージの中では常に少し先を行っています。

音楽と完全に同期するとそれこそコードひとつまともに移ることができません。

一方、リスナーは今鳴っている音を認識して音楽を楽しみます。

問題は、このリスナー的な意識で音楽を演奏することにあります。

自分が今出している音、今弾いているコードだけを認識しながら音楽を演奏することはできません。

格好よく言うと、ミュージシャンは常に音楽の先にいるのです(ドヤw)。

 

技術がある程度ついてきたのに、なぜか全然弾けるようにならないという人は、恐らくリスナー的な意識で演奏しています。

今弾くことだけに集中するのではなく、一音先、一小節先のことをイメージしながら弾く訓練をしてみましょう。

そうすると確実に演奏が変わってきます。