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はじめてのジャズ48 日本人がジャズを学ぶ際、ジャズとの距離感を常に把握しておくべき


八幡謙介ギター教室in横浜

僕がジャズミュージシャンとしてアメリカ留学やオランダでのセッション修行で得たことは、ジャズとの正しい距離感です。

僕は今でもジャズが自分のものになったとか、自分はジャズメンだとは全く思っていません。

文章などではそれを前提として書くこともありますが、本当のところはジャズとは距離があると感じていますし、その距離は一生埋まらないと確信しています。

海外での勉強や活動で得たのはそうした認識であり、決して「海外経験で俺は正しくジャズメンになれた!」とか「黒人の感覚を身につけた!」などとは思っていません。

(たぶんそう思っていると思われているんでしょうが…)

ジャズは異文化であり、それに近づくことはできてもそのものにはなれない……だからきちんと勉強しなければならない。

それが海外経験を経た僕のジャズ観です。

 

さて、「ジャズは異文化だ!」と言えば「知ってるよ」「当たり前」と言われそうですが、本当にそれをきちんと認識し、異文化としてジャズに取り組めている人がいったい何人いるでしょうか?

 

 

たとえば日本人ジャズミュージシャンはよく「ジャズは難しくない、気持ちよくやればいいだけ」と言います。

これはジャズとの距離感がわかっていない証拠です。

ジャズはどう考えても難しいし、きちんとやると日本人の感覚では必ず気持ち悪く感じます。

例えば日本人は枠にきっちりはまっていることを気持ちよく感じます。

だからどうしても最初は小節やコードにきっちりと音を当てはめて弾いてしまいます。

そうやって日本人として「気持ちよく」弾こうとするとジャズになりません。

そこで、小節からはみ出す、コードをわざと無視するというジャズ的なアプローチを吸収していきます。

これは日本人の感性からすると「気持ち悪い」ことですが、こちらの方がジャズとしては正しいアプローチとなります。

 

スイングにしても日本人が気持ちよくやろうとすると必ずジャストに近づいていくので、小さくなってしまいます。

そこで大きくスイングする方法を教えると、必ず皆「気持ち悪い」「変な感じ」「疲れる」と不満(?)を口にします。

 

 

自分はジャズに近い、あるいは自分はもうジャズだ! と勘違いしてしまうとジャズとの距離感を見誤り、アドリブを枠にはめたり、タイム感に厳しくなりすぎたりして、結果もっとジャズから遠くなってしまいます。

一方、自分とジャズの適切な距離感を認識できていると、ジャズの輪郭がはっきりしてきます。

例えば、自分はまだジャズから遠いということが分かっていれば、「自分が気持ちよくなるようにやればいいだけ」という方法論がおかしいことがわかります。

ジャズから遠い自分が気持ちよくなったところで、ジャズにならないことは明白だからです。

まだジャズから遠いことが分かっていれば、自分の感覚を一旦捨てて、もっとジャズに近い人が言うことを信用し、それを試してみた方がいいだろうと予測できます。

では誰を信用するか? これも選ぶのは自分ですが、自分がジャズから遠いということが分かっていれば、100%自分の価値観で選ぶのは危険だということも分かります。

 

自分が少しジャズに近づいてきたなと実感できたら、その分だけ自分の感覚を信用できます。

もちろんそのときも距離感を見誤るとまたジャズから遠くなってしまいます。

だから日本人が異文化であるジャズを学ぶ際、常に注意深く距離感を測り、自分とジャズの距離を正しく認識し続ける必要があるのです。

それを怠った瞬間から、ジャズは遠のいていきます。

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