ある程度アドリブが出来るようになってくると、必ずテーマを記号化して弾くようになります。
テーマを記号化して弾くとは、テーマからなんのイメージも浮かんでこない、ただ弾いているだけ、テーマがソロにいくための段取りになっているような演奏です。
そうならないために、テーマをよく聴き、その曲がどんな曲か、どんなイメージが湧いてくるか、どんな世界観があるのかをよく味わって、そして自分でもそのイメージや世界観を表現してみるのです。
何らかのイメージを持っていれば、具体的な弾き方もだいたい決まってきます。
例えば今レッスンでラリー・カールトンのROOM335という曲を弾いているのですが、僕がテーマから受けたイメージは、
午前か午後の早い時間
燦々と照りつける太陽(でもじめじめしてない)
椰子の木
ビーチ
陽気な人々
です。
まあ、この曲は誰が聴いても同じようなイメージを持つでしょう。
それを表現するためには、カラっと抜けのいいサウンド、小気味のよいスタッカート、伸びやかで大きなロングトーンなどが必要だと分かります。
あとはそれを的確に盛り込んでいけばこの曲が生きてきますし、どんどん自分の音楽に近づいていきます。
そうしたイメージが何もなければ、ただ弾いているだけ、ただ記号を処理しているだけになってしまいます。
「上手だけどなんか違うんだよな…」という演奏がそれです。
もちろん、あえてその無機質さを狙うというのも表現のひとつですが、その意思がなければ、まずテーマをしっかり聴き、そこからしっかりイメージを膨らませることから始めましょう。
ROOM335が聴けるアルバム