ちょっと話は飛びますがフリージャズについて解説しておきます。
フリージャズはそこそこ歴史のある音楽なのですが、その特異な音楽性から日本ではどうしても色眼鏡で見られてしまいます。
「楽器がちゃんと弾けないからめちゃくちゃやってるだけ」という中傷が最もポピュラーです。
確かに、一見そう思えますが、それは記号にとらわれている証拠です。
記号を”理解”するのをやめてミュージシャンという人間、そしてその奥にある精神を見ていくとフリージャズは面白くなってきます。
といっても別に高尚なものではありません。
ちょっといやらしい言い方をすれば、弾くことがなくなってあっぷあっぷしている姿を楽しめばいいのです。
これはやってる側から解説するとより分かりやすくなると思います。
実は僕もいっときフリージャズ中心に演奏していました。
だいたい30分程度を2セット、場合によっては45分1セットのみ、リズムもコードもメロディも決めず、合わせず、ただ頭に浮かんだ音を弾いていきます。
仮に30分やるとすると、だいたい次のような感じになります。
~5分
手持ちのネタを余裕を持って弾いている。
楽勝だと勘違いしている。
5分~10分
ネタが尽きてきてあせる。ちらりと時計を見て絶望する。
10分~15分
手持ちのネタを全て出し尽くし無力感にうちひしがれる。
人生でかいたことのない汗をかく。
15分~20分
何かの拍子に一瞬調子よくなって「あれ、いけるんじゃね?」と勘違いする。
20分~25分
何もかも出し尽くし、死にたくなる。
なぜかふと楽器を始めた頃のことを思い出す。
25分~30分
意識が朦朧とし、音の向こうにぼんやりと何かが見えてくる。
気がついたらなぜか全員同じタイミングで綺麗に終わってる。
終了後
二度とやらないと心に誓う(でもまたやる)。
やってる側の心の中はだいたいこんな感じです。
フリーの人がよく「最後の5分を見てくれ」と口を揃えて言うのは、そこに人知を越えた何かが現れる可能性があるからです。
それまでの25分は前振りのようなものです。
見ている側は、記号とかテクニックとかではなく、そういった極限状態の人間を楽しんでもらえればいいんじゃないかと思います。
もちろん、フリーもいろいろあるので、いわゆる一般的な楽曲に近いものもありますし、上記のような気持ちにならずただただずっと適当に音を外してるだけという人もいます(そういう人は全く消耗しないので、何時間やっても何も現れません)。
興味のある人は一度フリージャズを聴いてみてください。
まあ、あんまりオススメはしませんが…
僕が好きなフリージャズのアルバムを貼っておきます。
いきなりポチらずにまずはYOUTUBEなどで聴いてみてください。
合わなくても責任は取りませんので。
Ascension: Editions I & II (Reis) (Rstr)
- アーティスト: John Coltrane
- 出版社/メーカー: Verve
- 発売日: 2009/03/24
- メディア: CD
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