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日本人と西洋音楽 1 日本人の「技術信仰」は西洋音楽本来の目的を転倒してしまう


八幡謙介ギター教室in横浜

西洋音楽はコミュニケイションのために存在します。

ダンスをしたり、ミュージシャン同士で音の会話をしたり、いずれにせよ、みんなでわーっと盛り上がって楽しもうぜ!という目的のために音楽が存在すると言っても過言ではありません。

それらの音楽を習得するために地道な練習が必要であったとしても、目的は他者とのコミュニケイション(ダンスすること、楽しむこと、など)です。

ですから、しばしば技術的に未熟なバンドやアーティストが登場しますが、観客を楽しませることができていれば許容されます。

これは日本の音楽シーンでも同様であるといえるでしょう。

がしかし、そこに日本人独特の「技術信仰」が加わるとおかしなことになってきます。

 

 

日本人独特の「技術信仰」とは何をさすのでしょうか?

日本人には、ただ純粋に技術を極めたいという欲求があります。

極めてどうするといった目的もなく、それによる金銭的な見返りも期待できないのに、ただただ純粋に特定の技術の習得を目指して研鑽する、という傾向が日本人には非常に強いと僕は思います。

そういった日本人の特性は、武道などの伝統文化に息づいていたり、また、こんにちの科学や製造業におおいに貢献していると言えるでしょう。

そして、この「技術信仰」は音楽の世界にもはびこっているのですが、こちらは残念ながらマイナス要素となっています。

 

 

既に述べたように、西洋音楽はコミュニケイションのための音楽であり、あらゆる音楽的な技術はそのために存在します。

しかし、日本人は「技術信仰」を持っているため、コミュニケイションという本来の目的を忘れ、技術そのものを研鑽する傾向が強いのです。

日本人に、めちゃくちゃ上手いけど全然ノれない感動しない、というタイプの演奏が多いのは、そういった傾向に由来するものだと僕は考えます。

また、ミュージシャンも「技術信仰」なら観客も同様です。

日本では、ちょっと荒いけどエネルギッシュな演奏よりも、確かな技術を持ったものの方が称賛されます。

「技術信仰」の日本社会で、日本人がそういった演奏をし、観客が喜ぶのならそれでいいのかもしれません。

しかし、本来的な目的を失った音楽は、はっきりいって悲惨です。

その最たるものがジャズです。

いくら「技術信仰」の日本であるとはいえ、本来の目的であるグルーヴ感(スイング)もなく、プレイヤー同士の熱いインタープレイもなく、ただ淡々と――ただし上手に!――演奏されるジャズに誰も興味を示さないということは既に証明されています。

やはり、音楽はその本来的な成り立ちや目的を忘れるべきではないのでしょう。

 

 

日本人が日本で通用するほどに音楽的技術を磨くと、概ねそれはやりすぎとなります。

そして、そこに到達するまでの過程で、音楽の本来的な目的は必ずといっていいほど忘れられてしまいます。

ですから、日本人が西洋音楽を学ぶ際、日本人的な取り組み方(技術そのものの研鑽)を改めるべきだと僕は考えます。

そして、それぞれの音楽が本来持つ意義を再考してみましょう。

これは別に難しいことではありません。

だいたいが騒いで盛り上がって楽しむという目的ですからw

ただその騒ぎ方、楽しみ方がジャンルによってちょっとずつ違う、というだけです。

そういったことをきちんと踏まえておくことで、その音楽が本来持つフィーリングを掴める可能性は高くなると思います。

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