西洋音楽、特にジャズにおいて顕著なのが、昔の人(2016年現在で還暦以上)の方がそれっぽい演奏をする人が多いということです。
技術もそうですが、それ以上に昔の人の方が音楽から感じる雰囲気とか空気感とかが本物っぽいのです。
これはちょっと不思議な現象と言えるでしょう。
例えば、黒人であれば昔の人の方が本物っぽいというのは当たり前です。
しかし、日本人であれば昔の人より今の人の方がよりジャズを身近に感じる機会も多いはずです。
それなのに、今のジャズミュージシャンよりも圧倒的に昔の人の方がそれっぽく感じられます。
以下、僕なりの考察です。
恐らく昔の人の方がそれっぽいのは、彼らにとってジャズが完全に異物だからでしょう。
一見身近にあるものの方が吸収しやすそうですが、逆にそれだと悪い意味で「自分なり」になってしまい、本物から遠ざかっていくのかもしれません。
ジャズがまだ遠い異国の未知なる文化、音楽であったときの方が、自分やその回りにある音楽との差異がはっきりし、学ぶべき点が明確になるのではないかと思われます。
また、ジャズにしろロックにしろ、その音楽に対して世間が偏見を持っていたり、批判的である時期の方が、キッズはより覚悟をもって取り組むので、そこから芽が出る人たちも必然的にレベルが高くなっていくのでしょう。
今やジャズはもちろん、ロックも社会的な音楽になってしまったので、乗り越える障壁はほぼないと言えます。
それに加えて、情報はネットに溢れかえっています。
そういった便利な状況からは、それっぽい人はなかなか出てこないんですよねえ。
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