ギターの世界で「ピッキングのニュアンス」という言葉があります。
僕も10代の頃に雑誌などでこの言葉を何度も見かけて、何だろうと不思議に思っていました。
ただ、当時の雑誌などでは詳しい説明はなく、ギタリストの方も「できるやつにしかできない」といった程度のことしか言ってくれませんでした。
今考えれば無責任もはなはだしいことです。
20代半ばぐらいから僕もある程度ピッキングのニュアンスが出せるようになってきましたが、具体的に何をどうしているのかは自分でも分かっていませんでした。
まあ、そういった意味ではかつて僕が憧れていたギタリストと同じです。
30のときに「ギタリスト身体論」を書き、ある程度まではピッキングについて説明、実演できるようになりましたが、まだまだ不十分だと感じており、最終的にピッキングの研究をはじめて6年かかってようやくそれを「ギタリスト身体論3」で言語化、理論化することに成功しました。
ギターをはじめてからほぼ30年かかってます。
結論を言うと、「ピッキングのニュアンス」とは、右手親指のMP関節の開閉のことです。
MP関節とは、指先から数えて二つ目の関節です。
親指のこの関節をどの程度ロックするか、どの程度緩めるかでピッキングのニュアンスはコントロールできます。
しっかりロックするとタイトで定位が前にでる元気な音になります。
緩めるにつれ、いい意味で甘さがでてき、タイムもレイドバックし、ピッキングに味が出ます。
ロックするか緩めるかの白黒ではなく、ある程度振り幅があります。
その振り幅ごとに最適なジャンルがあります。
もちろん一つの音楽、一つの楽曲の中でMP関節を操作することも可能です。
ただ、MP関節の操作は前腕の回転、肩の稼働とセットになっているので、それだけでは不十分ですが。
いずれにせよ、MP関節の操作でかつてはできる人しかできなかった、そのできる人も説明することは不可能だった「ピッキングのニュアンス」が理論化され、誰でも使えるものになりました。
詳しくは「ギタリスト身体論3 新世紀ピッキング理論」をご参照ください。