先日、音楽以外で僕にご相談があり、横浜ギター教室でお話をお聞きしました。
ざっくり言うと、目標のために勉強を続けたいけど、モチベーションが続かない、やる気にムラがある、くじけそうになる、などなど。
そこで僕のブログにある「やる気」や「継続」といったトピックの記事を読まれ、ご連絡してくださいました。
ご相談の中でやる気の出し方についてお話したことをここでシェアしたいと思います。
検索すればやれメンタルセットだのマインドセットだの、○秒で意識を変えるだのといったことが出てきます。
一部有効なケースがあったり、効く人もいるかもしれませんが、基本的には効果はないと思っていいでしょう。
なぜなら、本当に効果があれば既にみんなやっていて、やる気に充ち満ちた人が世の中に溢れているはずだからです。
そんなものがあればメディアは放っておかないし、医療機関はもちろん、国も、世界も動き出すでしょう。
そんなことはまだ起こっていないので、やる気を出す方法、本当に誰にでも有効なメンタルセット、マインドセットは存在しないと思っておいた方が賢明です。
意識をどうコントロールするかという問題は、人類が長年かけて取り組んできた命題です。
ある種の宗教では、答えとされるものが提示されている場合もあったりします。
しかし、現在に至ってもやはり誰でもやる気が出せる方法は編み出されていません。
本当にそんなものがあればもう既に(以下略)
上記を前提として、やる気を出す、意識を変える云々(以下総称してマインドセット)に取り組むということはどういうことかをもう一度考えてみましょう。
例えばプロギタリストを目指して日夜練習に励んでいるとしましょう。
それだけでも地獄のような苦しみを乗り越えないといけないのに、同時に人類が何千年かけても解決できていない「意識」という超難問に取り組んでいくことになります。
これではタスクが重すぎます。
ただでさえ辛い勉強や練習に、さらに人類がいまだ解けない命題まで加える必要はありません。
だから、「マインドセットはできない」を前提とし、「やるだけ無駄」と最初から取り組まないのが賢い選択だと僕は思います。
まあ偶然うまくいく人もいるかもしれませんが…
それでも、マインドセットしないと勉強すらできないと考える人もいます。
しかしこれが勘違いの元です。
思い出してください、学校や会社が嫌で嫌で仕方ない日でも、ちゃんと準備して遅刻せずに行けましたよね?
嫌々でも最後まで勉強(仕事)できましたよね?
人はやる気がなくてもまあまあ動くことはできるんです。
それは、一部の特殊な人、強い人だけができることではありません。
誰でも普通のレベルで動き、働き、勉強することはできます。
もちろんパフォーマンスは下がりますが、よっぽど鬱病とかでないかぎり「できない」ということはありません。
それを忘れてしまうから、やる気が出ない=出来ないと考え、メンタルセットという人類の超難問に無駄に取り組んでしまうのでしょう。
やる気がなくてもできるということを再確認すれば、とりあえず嫌でもギターの練習をはじめたり、机に座ってテキストを開くぐらいはできます。
では言われた通り、やる気がないまま何かをはじめたとしましょう。
当然、勉強や練習ははかどりません。
そのときはどうすればいいのか?
やはり、パフォーマンスを上げるための方法論が必要なのではないか?……
個人的には何もしなくていいと思います。
やる気がないままはじめて、まあそれなりにやってみて、5分で限界が来たら終わればいいでしょう。
その日はそういう日だったのです。
ただ、一応取り組むことはできたので、それだけでよしとしておきましょう。
次の日も同じ、その次の日も同じで結構です。
そうやってやる気のない日でも一応形だけ継続しておけば、またどこかで意識が変わってやる気が出る日に当たります。
そういう日には気が済むまで取り組めばいいです。
ちなみに、僕のピッキング研究もそうやって継続してきました。
やる気がある日は朝から晩までずっとギターを弾いていたし、やる気がない日はちょっとだけギターを触ってすぐに投げ出したりしました。
結果、4~5年かけてオリジナルのピッキングを開発でき、それを本にすることもできました(まだ刊行していませんが)。
マインドセットみたいなことをやっていたらどこかで潰れていたかもしれません。