ギターの世界では太い音がいいとされ、ほぼ例外なくそれを目指して音作りをします。
ではこの太さについてさらに深く考察している人がいるかというと、僕はあまり出会ったことがありません。
もちろん、ある程度経験があれば音を聴いて太いかどうかは判断できますし、自分で太い音を出せる人も多いでしょう。
しかし、じゃあその太さって何のこと? と言われても答えられる人は少ないと思います。
僕はエレキギターの音の太さには二種類あると思います。
ひとつは芯の太さ、もうひとつはシルエットの太さです。
単純にわけると、ハムバッカーとシングルコイルの違いです。
ハムバッカーは音のシルエットが太いのですが、一方で芯がどこにあるかわかりにくく、歪ませると音がグニャっと潰れた印象があります。
一方、シングルコイルは音の芯が太くしっかりしていますが、シルエットはハムバッカーに比べて細いです。
一般的にハムバッカーが太い音がすると言われているのは、このシルエットのことでしょう。
一方、シングル好き、特にストラト好きが魅力に感じるのは、この芯の太さです。
シルエットの太さは誰でもわかりますが、芯の太さはちょっと経験がないとわかりません。
だからシングルのよさがわかるまでに時間がかかってしまうのです。
よく初心者~中級者の人がストラトやテレキャスをペラペラで使えないと酷評するのは、シングルの芯の太さが理解できていない証拠です。
上級者でシングルを敬遠している人は、シングルコイルの太さは分かっているけどそれを引き出せないのであえて避けているのでしょう。
このように、何が「太い」のかを考察してみると、ギターに対する理解がより深まります。
また、自分がいかに中身のない言葉に振り回されているのかも分かってきます。