八幡謙介ギター教室in横浜講師のブログ

ギター講師八幡謙介がギターや音楽について綴るブログ。

ギターがリペア・改造から帰ってきたのでレビューします


八幡謙介ギター教室in横浜

k-yahata.hatenablog.com

こちらの記事に書いていたギターがリペア・改造から帰ってきました。

茶色のギター、通称「プロト」君です。

納期より1週間早く帰ってきました。

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こちらがプロト改め、プロト改です。

最大の違いは、3シングルからネックとブリッジにハムバッカーを搭載したことです。

あと細かい修理もありますがそちらはパス。

なんでハムにしたかというと、このギター、ボディとネックがマホガニーなので、どう考えてもシングルが合ってなかったんです。

独特の音がしていましたが、このギターは絶対ハムだろうと前々から思っていました。

ただ、換装するとしたら一発勝負になるので、なかなか踏ん切りがつかず、5年ほど悩んでようやくハムに変えることにしました。

ヴィンテージギターが買えなくなったことも背中を押してくれました。

ヴィンテージより改造の方が安いですしね。

 

さて、ギターが届いて早速弾いてみたところ、

 

『ん?こ、こんなもんか……まあ違うっちゃ違うけど、あれ、失敗した???』

 

と最初は思ったのですが、同時に『はいはい、エージングエージング』と、そのまま弾き続けること1~2時間、やっとハムバッカーのキャラクターが出始めました。

ギターPUにもエージングは存在します。

 

先に結論を書いておくと、やはりハムバッカーにして正解でした。

マホガニーの質感とハムのアタック感やペラさ、シルエットの大きさがちょうどマッチしています。

特にリアで弾くとSGっぽいアタック感が出て面白いです。

ネックはPUを失敗したようで、音はあんまり好きではありませんが、シングルで弾いたときの頭の隅にある?マークは出なくなりました。

ハムバッカーを搭載したソリッドギターを持つのは久々なので、普通のストラトとの違いが新鮮です。

 

 

ネックピックアップ

まずネックに搭載したseymour duncan antiquity をレビュー。

SEYMOUR DUNCAN ( セイモアダンカン ) / ANTIQUITY HUMBUCKER Neck SEYMOUR DUNCAN ( セイモアダンカン ) / ANTIQUITY HUMBUCKER Neck

現在3日目ですが、正直まだ好きになれません。

エージングは進んでいると思うんですが、なんか低音がモコモコするし、高音は変に抑制されているし、太さやヴィンテージ感はなくもないけど、僕が基準とするヴィンテージの音ではないです(当たり前ですが)。

分かりやすく言うと、アイバニーズ系の無個性な音をちょっとだけすっきりさせた感じ。

はっきりいって高いだけで中途半端な音です。

これはPUにダメージ加工がしてあるんですが、そんなことする暇があったら音良くしろよと思います。

もしかしたらまだエージングが足りないだけかもしれませんが、期待はしていません。

1年ぐらい使ってみてギブソンに変えると思います。

ブリッジピックアップ

ブリッジはギブソンのバーストバッカー。

GIBSON ( ギブソン ) / BURST BUCKER TYPE2 NICKEL GIBSON ( ギブソン ) / BURST BUCKER TYPE2 NICKEL

最初はびっくりするぐらい大人しかったんですが、1時間程度でいい感じにハイが上がってきて、ギブソン系特有のキャンキャンしたアタックが出てきました。

パワーは思ったほどなく、シングル党の僕でも扱いやすいです。

しばらく弾いてると、ハム特有のペラい感じ(いい意味で)とか、歪ませてコードを弾いたときの「ガー」とか「ザー」という粗い感じも出てきました。

マホガニーと相まって、控えめなSGっぽい音で気に入りました。

ボディシェイプはストラトですが、かなりギブソンギブソンした音が出ています。

オーソドックスなロックを弾く人にはおすすめのピックアップです。

『今使ってるギターで、リアだけギブソンっぽくしたいなー』と思っている人は、これ付けとけば間違いないと思いますよ。

ピックアップ調整

以下、僕なりのピックアップ調整を書いておきます。

 

まずブリッジピックアップをセレクトし、PUの高さを適当に上げます。

その状態で1弦を強めに弾きます。

耳に痛い感じがしたらPUの1弦側を下げていき、痛さがいい感じにマイルドになったところでストップ。

ちょっと痛いぐらいが好きな人はそこでもいいし、痛さが気になる人なら納得できる位置までPUを下げましょう。

 

1弦側が決まったら、今度は1弦と6弦の音量差を比べます。

1弦側は決定したので、それを基準に6弦が大きすぎず、小さすぎないようにPUの高さを調節。

1弦と6弦を何度も弾き比べて、だいたい同じぐらいの音量になればOK。

これでブリッジPUの調整ができました。

 

今度はそれに合わせてネックを調節。

同じように1弦の痛さを調べると同時に、ブリッジとの音量差も合わせていきます。

ここは人によって違うかもしれませんが、ブリッジとネックであまりに音量差がありすぎるとおかしいので、できるだけ同じぐらいにします。

1弦側が決まったら、それに合わせて6弦を同じぐらいの音量になるよう調節。

センターPUがあれば同じように調整していきます。

 

こうして調整すると、そのPUのポテンシャルを生かして弾くことができます。

ハイの痛さが残ったままだと、それ自体は迫力があっても結局後でミックスで削ったりしないといけなくなるので意味ないです。

ブーンと膨らんだローも同じ。

このへんも横浜ギター教室で教えたり調整したりしているので、興味がある人はお越しください。

PUの高さ調節だけでもギターが見違えるほどよくなりますよ。

 

僕は近年、ギターの改造を積極的にするようになりましたが、それは長年の経験である程度これにこれを載せればよくなると予測できるようになったからです。

今のところ大失敗はしていません。

まだ経験の浅い人はやめといた方がいいかもしれません。

例えば、マホガニー、アルダー、アッシュの違いや、メイプルネックとローズウッドの違いが音で分からない人は、改造後の仕上がりをイメージできないということなので、危険です。

『このギターのボディはアルダーだからパワーのあるPUを載せたらバイト感とあいまって出てこんな音になるはず!』とはっきりイメージできるぐらいになったらPUやパーツの換装を試してみましょう。

それまでは、ノーマルのギターをたくさん弾いてみたほうがいいと思います。