時々、「今は娯楽が多いから若者が楽器の練習に集中するのは本当に困難」といった意見を目にします。
さらに、「昔は娯楽が少なかった」と、さも昔の人間が環境のおかげで楽器の練習に集中できたような意見に発展することもあります。
で、78年(昭和53年)生まれ、今年38歳の僕がお答えしますが、そうでもないですよw
僕がギターを始めたのは中学2年の頃、90年代初期です。
確かにインターネットもスマホもSNSもなかったですが、それだけに、ひとつひとつの娯楽が強烈で、さらにそこにリアルな人間関係も付随してきますから、それらを断って楽器を練習するというのはなかなか勇気が要ることでした。
TVなんかもダウンタウンのコント番組「ごっつええ感じ」然り、今では伝説と言われているような番組がごろごろあり、録画はできるものの、それらをリアルタイムで観ずに練習するというのもやはりかなりの忍耐力が要りました。
また、SNSがないから、人とコミュニケイションを取るためには必ず外に出ないといけません。
そうしたお誘いと練習のバランスを取るのも一苦労でした。
バイトなども、アフィや動画で効率よく小遣い稼ぎなんていう手法がなかったので、必ず外に働きに出ないといけません。
とこのように、昔は昔で娯楽の量は圧倒的に少なかったのですが、ひとつひとつが今よりもっと魅力的で、しかも時間や労力を取られるものでした。
そして、なんとか音楽で食えるぐらいになった人は、それらを我慢し、あるいはちゃんとバランスを取って練習していたのです。
単純に練習時間の捻出という点でいうと、今の方が作りやすいのではないかとすら思えます。
ひととの繋がりはSNSでおおかた済ませられるし(どうしてもというときだけ会えばいい)、小遣い稼ぎもうまくやればネットで可能、ゲームもスマホであれば家にいなくてもできるから移動時間や待ち時間で進められる…。
買い物もネットでポチっとけば配達されますしね。
もちろん、今は今で昔より大変なこともあるでしょうが。
ひとつだけ言えるのは、昔は昔でいろいろ大変で、一人前になった人はそれを乗り越えてきたんだよってことです。
今より昔の方が楽器練習に恵まれていたなんてことは全くないです。