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「セロニアス・モンク 独創のジャズ物語」読了

セロニアス・モンクの伝記を読みました。

アメリカ史の教授である著者が14年の歳月をかけて収集した資料を元に、謎に包まれていたモンクの生涯を書いた力作です。

歴史家らしい多角的な視点や、あえて結論を安易に出さない慎重さが本書の資料としての価値を物語っていると思える良書でした。

 

ただ、それだけに、「結局どないやねん」という点が多く、もやもやした読後感もありました。

例えば、著者はややモンクの寄りの心情で書いているので、モンクへのステレオタイプなレッテル張り(奇人変人、寡黙、ジャズ以外何も弾けないなどなど)へ静かな怒りを持って反証しようとしている感じが読み取れます。

一方で本当に奇人変人としか思えない言動や、極度の遅刻癖なども事実として列記されており、「どないやねん」ともやもやしながら読み進めていきました。

その他、小説のような描写も多く、個人的には資料価値は高いとしても、伝記作品としての質は疑っています。

多角的な資料から個人の性質を浮き彫りにするという試みは、学問としては正しくても、読み物としてはかなりしんどいです。

 

ただ、著者はジャズに対する造詣がかなり深く、特にプレイヤー視点もしっかりと持っており、こういった作品によくある勘違いや取り違いは全くありませんでした。

ジャズミュージシャンがそのままプレイに反映できるような描写もあり、たんなるジャズファン、モンクファンだけに向けたモンクの伝記ではなく、ジャズ教則本としての側面も十分持ち合わせています。

 

最近モンクを改めて聴いたときに「メロディさえちゃんと弾けていればあとは何してもいい」という哲学を音楽から感じたので、それが正しいのかどうかを確認するために本書を手にしたのですが、最後の最後あたりでまさにモンクがそう言っているという記述があり、個人的にはそれだけでも大満足でした。

音楽から弾き手の哲学をはっきりと読み取れたのは初めてのことかもしれません。

それだけに、セロニアス・モンクは現在の僕にとっては最も重要で、最も親近感のあるジャズミュージシャンです。

 

その他初期バッパーたちの相関図、ビバップ誕生の光と影(本当はビバップはモンクがやっていたスタイルのひとつで、それを取り入れたバードとディズが創始者扱いされ、モンクが脚光を浴びることはなかった)、黒人のミュージシャンの苦難などなどもより深く知ることができ、大いに刺激を受けました。

 

モンクの音楽の、ごつごつしたむき出しの美しさも彼のピュアな心から生まれたものだということがよくわかりました。

とはいえ、かなり専門性が強いので、ジャズ初心者には全くおすすめしません。

40年代から60年代のジャズを一通り聞いてきた人が本書を読むと、生まれ変わったような気分になれます。

yahatakensuke.com

セロニアス・モンク 独創のジャズ物語

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