八幡謙介ギター教室in横浜講師のブログ

ギター講師八幡謙介がギターや音楽について綴るブログ。

ジャズギターがつまらない理由 9 ギターデュオという、ギタリスト以外誰も興味ないフォーマット


八幡謙介ギター教室in横浜

ジャズは様々なフォーマットで演奏されます。

最もポピュラーなのは、ウッドベース、ドラム、ピアノ、そして管楽器です。

それ以外にも、大所帯のビッグバンド、ドラムレストリオ、デュオ、ソロなどがあり、好みが分かれるところです。

そんな中ジャズギタリストがやたらと好むフォーマットがあります。

それがギターデュオです。

僕はギターデュオに対して、音大時代からかなり疑問視してきました。

「これの何が楽しいんだろう?」と。

卒業後、ジャズギタリストとして演奏活動を開始してからも、ギターデュオでのライブはたぶん一度もやっていません。

しかし、一般的にはギターデュオはあちこちで行われています。

なぜだか御存知ですか?

 

 

それは、楽で手っ取り早いからです!

そう、ギタリストにとって、ギターデュオほどお手軽なものはありません。

ジャズギタリストなんてどこにでもいるから相方を探す手間はほとんどいりませんし、演奏スペースもそんなにいらないし、機材の持ち運びも楽なのでお店も選ばなくていい、それにギター同士って音楽的責任が半々になるので、気持ち的にもの凄く楽なんですよね。

例えばヴォーカルとデュオとか管楽器とのデュオだと、音楽的責任が自分に一気にのしかかってくるので相当しんどいです。

プロでも駆け出しの人は出来れば避けたいと思うのではないでしょうか?

しかし、ギターデュオは違います。

そもそも、遊びや練習でやり慣れているし、相手も同じ機能を持った楽器なので、何かあったら助けてくれる(ハーモニーやリズムを補完してくれる)という安心感があります。

だからジャズギタリストは何かとギターデュオをやりたがるのです。

 

 

ついでに言っておくと、ジャズギタリストにとって、ギターデュオとは本来練習用のフォーマットなのです。

本当はベースやドラムと一緒にやってスキルアップしたいけど、練習に付き合わせるのは悪いし、レッスンでいちいち他楽器を呼ぶこともできない、それならギター仲間同士や講師と生徒でベースラインとかリズムとか補完しあいながらやった方が気楽だよね、というのがそもそものギターデュオの存在意義です(ああ、言っちゃった、ごめんなさい……)。

それを人前でお金を取って行うというのが僕にはどうも申し訳ない気がして、ギターデュオはずっと避けてきました。

ちょっとしたデモンストレーションとか余興ぐらいならいいかもしれませんが。

まあそういったことは抜きにしても、そもそもギターデュオなんか誰が聴きたいんでしょう?

ギターデュオが大好きで、ギターデュオライブ に足繁く通っているというジャズファンはいますか???

いたとしてもまず間違いなくそれはジャズギタリストでしょう。

 

 

同じ機能を持ち、同じような音色(非ジャズファンには特にそう聞こえる)の、同じような形の楽器が、お互い交互に同じようなことをしている演奏を面白いと思ってもらえるかというと、かなり難しいのではないのでしょうか?

もちろん、過去にはギターデュオの名盤もありますし、感動的なギターデュオを聴いたこともあります。

が、何かといえばギターデュオというのは、あまりにもギタリストの都合が過ぎるのではないかと思います。

自分の都合を優先して何かをするとき、他人はたいていつまらなく感じるものです。

逆に、他人を楽しませるために何かをするとき、自分には相当に負荷がかかります。

どちらを選ぶかはミュージシャンの心掛け次第でしょう。

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