スイングはアフロアメリカンが持つ独特のリズム感覚ですが、それはつきつめれば一人一人違っています。
今回は特徴的なスイング感を持つアーティストを紹介し、スイングの違いを解説します。
1曲目「Moanin」
ドラム:アート・ブレイキー

- アーティスト: Art Blakey
- 出版社/メーカー: Blue Note Records
- 発売日: 1999/03/17
- メディア: CD
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アート・ブレイキーという名ドラマーがリーダーの「ジャズ・メッセンジャーズ」というグループです。
「Moanin」という曲のテーマはバラエティ番組などでも使われたりするので知っている人も多いと思います。
では「Moanin」のドラムに注意して聴いてみてください。
「チーンチーキ・チーンチーキ」というシンバルの定番パターンを叩いていますが、2拍目と4拍目で「*・タン・*・タン」とスネアが入っています。
その結果、前回ご説明した「ターカ・ターカ・ターカ・ターカ」というスイングが、「ターカ・タッカ・ターカ・タッカ」と、後半がちょっと跳ねた感じになっています。
強く地団駄を踏みながら歩いている感じといえばイメージできるでしょうか?
あるいは泥臭い、ちょっと田舎臭い感じとも言えます。
アート・ブレイキーはこうやってスネアを入れることがしばしばあります(毎回ではありません)。
1曲目「Blue Train」
ドラム:フィリー・ジョー・ジョーンズ

- アーティスト: John Coltrane
- 出版社/メーカー: Blue Note Records
- 発売日: 2003/07/18
- メディア: CD
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では上記のアートのドラムと、以前ご紹介したジョン・コルトレーンの「Blue Train」のドラムを比べてみましょう。
フィリー・ジョー・ジョーンズもアート・ブレイキーに劣らない名ドラマーです。
聴いてみると、アートのような跳ねる感じではなく、流れるような流麗さがあるのが分かります。
都会的な洗練されたスイングですね。
2曲目「Stompin at the Savoy」
ピアノ:レッド・ガーラント
今度はピアノを聴いてみましょう。
レッド・ガーラントは比較的軽めのスイング感を持っています。
「ターカ・ターカ・ターカ・ターカ」というよりはちょっとだけ「タッカ・タッカ・タッカ・タッカ」に近いです。
といってもシャッフルではなくちゃんとスイングしていますが。
ジャズの解説でよく使われる「ウキウキ感」を最も体現しているピアニストと言っていいかもしれません。
ソロでは8分音符を多用したフレーズが多いのでスイング感がわかりやすのも特徴です。
3曲目「Second Balcony Jump」
ピアノ:ソニー・クラーク

- アーティスト: Dexter Gordon
- 出版社/メーカー: Blue Note Records
- 発売日: 1999/03/17
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ソニー・クラークは重たいスイング(ジャズでは黒人らしいという意味で”黒いスイング”と言ったりする)で有名です。
レッド・ガーラントと比べてみるとベターっとしているのが分かると思います。
「ターカ・ターカ・ターカ・ターカ」というよりは「ターーカ・ターーカ・ターーカ・ターーカ」と伸ばしているイメージです。
また、「ターカ」の”カ”の音が強いのも特徴です。
ちなみにこのアルバムのリーダーであるデクスター・ゴードンも特徴的なスイング感やタイム感を持っているのでいずれまた例に出すと思います。
このアルバムも名盤なのでよかったら入手しておいてください。
このように、同じ楽器でスイング感の違いを比べてみるとだんだん区別がつくようになっていくと思います。
ただ、ジャズはアーティストや作品があまりにも多いので誰と誰を比べたらいいかがわからないという人が多いでしょう。
とりあえず、とっかかりとして上記の演奏を聴き比べてみてください。