サークルクラッシャーにサークルをめちゃくちゃにされる話は時々見聞きしますが、バンドにもバンドクラッシャーが存在します。
若かりし日、バンドクラッシャーにバンドをめちゃくちゃにされた私が、当時の苦い思い出を回想すると共に、メンバー集めの際どういう人に気をつけるべきかを書いておきたいと思います。
バンドクラッシャーは、純粋に音楽がしたいのではなく、別の欲求(承認願望、仕切りたい願望、簡単に目立ちたい願望)を満たすためにバンド活動を行おうとします。
しかし、なぜバンドなのでしょう?
結論から言うと、他が全てダメだったからバンドに流れてきただけです。
実際にいたバンドクラッシャーはこういう人物でした。
・勉強できない
・スポーツまあまあ(部活でぎりぎりスタメンに入れるぐらいだがエースにはほど遠い)
・容姿は中の下、低身長
・特技なし
・ヤンキーコミュニティにいるものの、それほど気合い入っているわけでもない
どこに属しても一番になれないどころか、二番にも三番にもなれないタイプです。
そこで彼が目を付けたのがバンドです。
たった四人の集まりなら天下を取れる!……そう思ったかどうかは知りませんが、ヤンキーコミュニティにいたはずの彼は持ち前のコミュ力で、ほぼ全く交流のなかったこちらサイド(バンドコミュニティ)に近づき、気がついたらあっさりボーカルとして加入していました。
今思い出そうとしても、本当にいつどうやって入ってきたのか全く思い出せません。
それぐらい彼はたくみに近寄ってきたのです。
クラッシャーはあっさりバンドの空気を掴みます。
それも見事なもので、当時やっていたバンド内で一番発言権のあるドラマーをまず完全に自分サイドに引きこみました。
恐らくヤンキーのコミュニティで生きてきた過程で培われた政治センスなのでしょう。
そして、クラッシャーとドラムが完全に意気投合しますが、糸を引いているのはクラッシャーです。
ここでバンドの空気は完全にクラッシャーの意のままとなってしまいました。
簡単にバンドを手なずけたクラッシャーですが、それだけでは終わりません。
今度は先輩たちに上手く取り入って気にいられようとします。
そこは縦社会のヤンキー出身、先輩の扱いはお手の物です。
ここでもやはり上手く立ち回って、クラッシャーはすっかり先輩のお気に入りへと昇格します。
バンドはバンドでやはり縦社会ですから、先輩との関係も大事です。
もともとそんなに上手く先輩たちと絡めていなかった僕らのバンドにクラッシャーが入ったことで、交流が増えてきました。
当然、クラッシャーの株は上がります。
そして彼はいつの間にか、バンドの窓口としても機能するようになっていきました。
ここまでだと、どちらかというと使える有能な人物のように思えます。
実際、外からはそう見えていたでしょう。
しかし彼の真の目的は音楽活動ではなく、ボスになること、仕切ること、もっと言えばグループを支配することです。
そして、その支配を完成させると、クラッシャーはだんだん本領を発揮してきたのです。