仮にバンドに近寄ってきた人物を加入させたとしましょう。
もし彼がクラッシャーなら、必ずバンド内の主要人物を味方につけようとします。
なぜなら、彼の目的は支配することにあるからです。
そしてバンドも人間の集まりですから、同い年で対等だということを建前にしていたとしても、ある程度の上下はできてしまうものです。
クラッシャー(特にヤンキー)は音楽の才能はゼロですが、コミュニティ内の力関係を見抜くことに関しては天才的な能力を発揮します。
そして、持ち前のコミュ力でバンド内の主要人物に簡単に取り入り、短期間で深い関係になります。
新しいメンバーがそういう動きを見せたら、もう既にバンドは崩壊への一歩をたどっていると思ってもいいでしょう。
バンドクラッシャーは巧妙にあなたのバンドに入りこんできます。
最初はそれこそ頭を下げ、皆の言うことを聞き、謙虚な姿勢をとっているのでコロっと騙されてしまいますが、気がついたときはもう手遅れに近い状態になっていると思っていいでしょう。
仮に新しく加入したメンバーにまだ不安を覚えているバンドマンがいたら、そのメンバーにスイッチが入る瞬間を見逃さないようにしましょう。
「スイッチが入る」とは、急に仕切り出す、急にメンバーの誰かをターゲットにしていじりだす、最初は音楽に対して謙虚だったのに急に知った風なことを言いだす…などなど。
あと、なぜかいつも最終的に彼の意見が通ってしまう、という状態になっていたら要注意です。
このように、クラッシャーがスイッチを入れ本領発揮しだしたのは、彼がバンド内の主要人物をおさえ、もう正体を現しても大丈夫だと感じたからです。
そう、これまでの謙虚な態度、皆に合わせた発言などは全て作戦だったのです。
クラッシャーにスイッチが入ってしまえばもうおしまいです。
バンドが彼のものになるのは時間の問題でしょう。
仮に最初からスイッチONの状態でバンドに近づいてきたなら誰でも『あ、こいつヤバいな』と警戒し、加入させないでしょう。
そういう人はクラッシャーではありません、ただの馬鹿です。
クラッシャーが怖いのは、徹底的な根回しが完了するまで本心を出さないことです。
さて、ここからまたバンドを立て直すためには、クラッシャー以上の政治力が必要となりますが、そもそもバンドにそれを持ち合わせている人物がいればクラッシャーを加入させることはなかったはずです。
おめおめとクラッシャーの加入を許し、主要人物を骨抜きにされてしまったバンドに残された道は、クラッシャーに食いつぶされるか、解散するかの二択しかないのです……