最近いろんな時代の名盤を聴き直しています。
そこでふとRage Against The MachineとNervanaを聴き比べてみたとき、なんか納得するものがあったので書いておきます。
長いので以下Rageで。
91年にデビューしたミクスチャー/ニューメタルの元祖的存在。
当時はまだロックバンドのヴォーカルがラップをするというスタイルがほぼなく、世界中のキッズたちが衝撃を受けました。
また、音楽に政治的メッセージを堂々と乗せるというスタンスもロックバンドでは珍しく、衝撃的でした。
デビューアルバムはこちら。
ちなみにこれは実際の写真で、ベトナム戦争に反対するためベトナムの僧侶が結跏趺坐したまま実際に炎に包まれて焼身自殺するという衝撃的なものです。
余談ですがこれを知った南ベトナム(親米派)大統領夫人が「坊主のバーベキューに何の意味があるの?」と言い放ち反感を買ったそうです。
アルバムのサウンドは、ローがベタついてハイがややくすんだ感じ。
90年代によくあるサウンドですね。
そういえばあの時代はやたらと皆がローローと言っていて、「重低音」なる言葉が流行っていたと記憶しています。
低音が効いていれば売れた時代だったのかな?
あとギターがやたらでかいですね、このアルバム。
先進的なスタイルにしてはミックスバランスが王道ギターロック、ギターヒーローもののようです。
今聴くと不自然さやバランスの悪さを感じますが、その分90年代に思春期を過ごした僕としては、あの頃の空気感、時代性が詰まっていてとても懐かしく感じます。
正にザ・90年代というサウンドですね。
ただ、Rageはあれだけセンセーションを巻き起こしたにもかかわらず、今はもう昔のバンドとして片付けられている印象があります。
むしろKORNとかの方が再評価されている印象。
まあ改めて聴くとラップも今や当たり前のスタイルのひとつだし、バックの演奏なんてラップを脳内で消すと70年代ぐらいのハードロックに近いスタイルですもんね。
トム・モレロのギターも革新的でしたが、今は飛び道具なんていくらでもあるし、変なサウンドも誰でも作れます。
政治的メッセージもZ世代には刺さらないのでしょう。
あれだけ世界に衝撃を与えたにも関わらず、そこまでの普遍性はなかったという意外な着地を見せたバンドでした。
活動は今もしているようです。
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ニルヴァーナ (アメリカ合衆国のバンド) - Wikipedia
言わずと知れた90年代を代表するバンド。
それまでメタルやハードロックが主流だったロックシーンに「グランジ」「オルタナティヴ」という新たなジャンルを確立したバンド。
彼らの登場でかのイングヴェイがアメリカでのレコード契約を全て切られ、唯一日本のレコード会社だけが契約を継続してくれたと自伝に書いていました。
また、ガンズのスラッシュもニルヴァーナの台頭で過去の人され、道を歩いていたら「うわっ、スラッシュだ、だっせーw」と嘲笑されたとどこかで言っていました。
代表作はこちら。
(注意:こちらはリマスター版)
奇しくもRageと同じ年です。
サウンドは全体的にややくすんだ印象はあるものの、ローはRageほどベタつかずすっきりし、ハイもしっかり出てややシャリシャリ感が強い印象。
激しめのロックで無視されがちなハイハットがとてもしっかり聞こえてくるのが気持ちいいです。
各楽器の分離感も十分で、音場もしっかり広く取られています。
その広い音場にドラムセットが大きく並べられている感じ。
ヴォーカルの質感もよく、エフェクトのかかり具合もしっかり確認できます。
ギターは90年代特有のぐちゃぐちゃしたサウンド。
クリアなオケとぐちゃぐちゃに歪んだギターの対比がもはや芸術的とさえ感じます。
改めて聴くと、普遍性とノスタルジーが絶妙に混ざった90年代の傑作だと言えるでしょう。
バンド自体はカートが亡くなったので消滅しましたが、曲は今でもあちこちで流れてるし、Tシャツが高騰したりと何かと話題が尽きないところも興味深いです。
たまたまかもしれませんが、両バンドの同じ年にリリースされたアルバムのサウンドと約30年後のバンドの評価が一致しているところが興味深いです。
Rageはいかにも90年代なサウンドで時代を築きましたが今や昔のニューメタルのひとつという程度の位置付け。
一方NIRVANAは今聴でも違和感なく聴ける普遍性のあるサウンドで、今でも伝説のバンドとして語られています。
まあ比較アルバムは1枚だけだし、サウンド以外にもいろんな要素があるとは思いますが。
興味ある人は聴き比べてみてください。