僕はレッスンで生徒さんに、ヒット曲を聴くことをよくおすすめしています。
なぜかというと、ヒット曲には今の空気が詰まっているからです。
音楽の”今”が何なのか?
また、今の音楽リスナーはどういう感覚を持っているのか?
それらはヒット曲に集約されています。
曲は3分以内、イントロは10秒以内かなくてもOK、サビはできるだけ早めに出す、曲は勝手に切り取られる前提で、だからAメロBメロも捨て駒にしない、コード進行はなんでもあり、ギターソロいらん……
そこから見えてくるのは、とにかくリスナーに時間がないということです。
今は、3分の曲をじっくり最後まで聴いてもらうことが難しい時代です。
だからこそどうにかしてリスナーを食いつかせようと皆必死で楽曲を制作しています。
ヒット曲は、それが成功した証なのです。
ヒット曲をさっさと聴き、それが今のリスナーの大多数が求めているものであると認識したら、後はそれを分析していくことで音楽の現在地が分かってきます。
ヒット曲を無視してイントロからAメロまで平均1~2分かかるプログレばかり聴いていたら「1曲3分以内、それでもほとんどは最後まで聴いてもらえない」という今の時間感覚は分かりません。
もちろん、「今は時短の時代、でも俺はプログレをやる!」というのは全然問題ありません。
ただ、その「今は時短の時代」を知るためにはヒット曲を聴いておかないと分からないよ、というだけです。
また、1曲平均7分以上のプログレをやるのは自由だとしても、それをこの時短の時代にどうプロモートするか、その長さをどう今のリスナーに楽しんでもらうかをちゃんと考えないと活動はままならないでしょう。
どんな音楽をやっているにせよ、それを”今”やっているのです。
だから音楽の”今”を知っておくべき、というだけの話です。
そのために”今”のヒットソングを聴いて、音楽の現在地を更新しておくことはどんなジャンルの音楽をやっていても意義のあることだと僕は思います。