ある程度技術や知識が整い、習作時期も終わり、さあ仕事を取っていくぞと意気込んでいるミュージシャンやクリエイターの人は、ひとつの仕事の先に何があるかを知っておく必要があります。
それを知らずに仕事をして早々と行き詰まり、廃業してしまう人が多いからです。
仮に初対面のAさんから仕事の依頼が来たとします。
あなたはそれを、とりあえず依頼だから受けたものの、あんまり乗り気ではないとしましょう。
だから連絡もぞんざいにしたり、あるいはぜんぜん返さなかったり、一応期日は守るけど締め切りギリギリに納品、修正などの依頼も言われたことだけチャッチャと済ませて終了。
これ、ダメな仕事の典型例です。
「期日を守って言われたことは対応しているのに何がダメなの?」と思う人はかなり危ないです。
確かに、Aさんからの今回の依頼は一応ちゃんと済ませたと言っていいかもしれません。
しかし、上記のような対応ではAさんからの再依頼は100%ないと断言できます。
僕がAさんの立場なら絶対にあなたには再依頼しません(実際発注相手に対しそう判断したことが何度もあります)。
つまり、あなたはこの単発の仕事をぞんざいにこなすことによって、この先何回も、何十回も来るかもしれないAさんからの依頼を潰したことになるのです。
それだけではありません。
業界というのはどこも狭いものです。
Aさんがあなたのぞんざいな仕事ぶりを誰かにグチったとしたら、あなたの噂は瞬く間に広がっていきます。
そういったグチも過去に何度も聞いたことがあります。
また、Aさんの友達のBさんがあなたと仕事をするかもしれないと聞いたとき、Aさんは「あいつこんな仕事ぶりだったよ」と注意喚起したり、場合によっては「あいつはやめたほうがいいよ」と止めてくる可能性もあります。
Aさんとの単発の仕事が、AさんだけでなくBさん、Cさんとの仕事にも影響してくる可能性があるのです。
これがひとつの仕事の先にあるものです。
恐ろしいのは、Aさんがなぜあなたに再依頼をしないのか、BさんやCさんがなぜあなたに発注しかけてやめたのかをあなたに言ってくれないということです。
だから仕事が来ない、来なくなった理由があなたには分からないのです。
逆に考えればひとつの仕事をきっちりこなすことによって先が開けてくる可能性もあるということです。
連絡は即丁寧に返信、何かあればこまめに報告、納品は可能であれば早めに、修正は言われたこと以上の仕事をする……これだけでまちがいなく”できる”仕事相手という認識を得られるでしょう。
Aさんからの再依頼も期待できるし、仮に何もなかったとしてもどこかで「あいつよかったよ」という話を同業者にしている可能性は十分あります。
そうしてひとつひとつの仕事をちゃんとこなしていけば、次の依頼や紹介に必ずつながっていきます。
残念ながらこうしたことを知らないがために、自分で仕事の種を枯らしていく人は結構いると思います。
ちなみに、こうした仕事の作法って音大とか専門では一切教えていませんからね。
こうしたことが知りたければ、親身になってくれる先輩か、ちゃんと仕事のしかたを教えてくれる先生に出会うしかありません。
これからフリーで仕事をしたい人は、今すぐそういったことを学べる先輩か先生を探した方がいいです。
ちなみに僕はプロ活動をはじめた生徒さんには仕事の作法をちゃんと教えています。
知りたい方はレッスンを受講してもらえたら何でもお教えします。