以前から読んでいた通史「日本の歴史」全26巻をついに読了しました。
検索してみると第1巻を2020年7月に購入していたので、約2年半かかったことになります。
間違いなく人生で最長のシリーズ、最長の読書期間となりました。
司馬遼太郎の「飛ぶが如く」やデュマの「三銃士」も長かったですが、比じゃないですね……。
では記念にきっかけや感想をまとめてみましょう。
日本の歴史を通史で読み直したいと思ったのがきっかけです。
部分的には知っていても、ひとつの大きな流れとして把握できていないと感じたので。
しかし問題がひとつ。
通史ってだいたいがライトなものが多いんですよね。
漫画だったり、受験用だったり、子供向けだったり…
じゃあ時代ごとに本を選んで自分で通史を勉強すればいいかなと思ったのですが、作者や本の趣旨が一冊ごとに違うと時代が上手くつながらなかったり、内容の濃さや作者の歴史に向かう姿勢が違ったりして余計混乱する可能性があります。
できれば同じ出版社のシリーズで、ある程度同じ趣旨で、ちゃんとした学者が書いている歴史シリーズ……となると中公文庫「日本の歴史」以外ないという結論になったので、これを読んでいくことにしました。
(「逆○の日本史」とかは論外)。
1冊最低でも500ページ×26冊、しかも著者は全員ガチの学者でエンタメ要素ゼロという絶望的な読書ですが、なんとか無事読了できました。
達成感とかは別として、読後に感じたことは、「一回通史を読んだだけで日本の歴史の流れはわからんw」です。
ですからそもそもの試みはまだ達成してはいないのですが、そのかわり部分的に詳しくはなりました。
あと、自分の好きな時代、興味ある時代もはっきりしました。
何度か書きましたが、改めて思うのは歴史は学者の本を読むにかぎるということです。
今まで読んでいたもの、特に戦前の昭和史などがやや右寄りだったので、知らないうちに知識や認識も偏っていたようです。
もちろん左翼学者もいれば保守学者もいますが、ジャーナリストや作家、漫画家が書く歴史よりはましです。
ただ、学者の本は全くといっていいほどエンタメ要素がなくて、読むのにかなり体力が要ります。
「日本の歴史」だと、だいたい1冊の中で『うわ!おもしろっ!』と思える箇所が10カ所あればいい方です。
50ページに1行とか一言ぐらいですかね。
後は全部冷静な分析、資料の解析、淡々とした歴史的事実の提示がひたすら続きます。
これを26回行うのは結構地獄でした。
最後の方は慣れてきましたが、そのせいかTVやYoutubeなどのエンタメ歴史番組が全部嘘に思えて入ってこなくなりました。
「日本の歴史」を読んで面白いなと思ったのは、奈良時代と戦前の昭和ですね。
どっちも大きな流れがあって、今に通じる日本人の性質がよく出ているからです。
また、昭和はキャラの宝庫でこれから気になった人物の伝記をディグっていきたいと思います。
幕末は前から好きだったんですが、流れで読むとあっという間でした。
戦国時代は前からそんなでもなく、改めて読んでも別にって感じですね。
江戸時代は色々興味はあるけど流れとしては抑圧の時代で、暗い印象を持ちました。
最後に、「日本の歴史」で面白かったところを、ぱっと思い出せる範囲で箇条書きにしておきます。
・仏教暴力的すぎ、落ち着いたのは江戸時代以降
・比叡山無茶苦茶、そら焼かれるわw
・信長以外に比叡山を焼き討ちした人がいた
・古代の税法や荘園が結構面白い
・今の同調圧力や村意識、上は絶対みたいなのが完成したのが江戸初期
・江戸時代は黒歴史
・切腹が流行った時期があった
・明治天皇、結構陰で政治家にバカにされてたらしい
・日露戦争のとき反戦ムードがあったらしい
・ロシアと日本、意外と付き合い長い
・明治の政策や外交はだいたい薩長の派閥争いから
・大正しょぼすぎw
・司馬遼太郎の言ってた「明治大正まではよかった、昭和が魔法にかかったようにダメだった」は合ってる
・太平洋戦争の流れは田中義一から読むと分かりやすい
・昭和~戦争終結までの政治は一手一手が悪手でげんなりする
・陸軍はモンスター
・戦後のアメリカの統治はわりと合理性がある
・戦後民主主義は大筋正しい