2年前からずっと中公文庫の「日本の歴史」全26巻を読んできて、ようやくゴールが見えてきました。
今は25巻目です。
前にも書きましたが、太平洋戦争(大東亜戦争)を理解するなら「日本の歴史」24、25巻がベストです。
この二冊で戦争に向かっていく流れがしっかり理解できます。
今までなんとなく、決定的な何かがあって戦争に踏み込んだと勘違いしていたんですが、もうずるずるずるとゆーっくり沈み込んでいくように戦争に突入していく様子が客観的に説明されていて、自分の中の戦争観が変わりました。
両巻ともかなり批判的に書いていますが、いわゆる自虐史観や戦後民主主義の匂いはしません。
もちろん右寄りのマッチョな書き方でもありません。
個人的には陸軍が政治の中枢に入り込んでいく流れが興味深かったです。
簡単な本では「軍部の暴走」とよく書かれてありますが、25巻を読むと軍につけ込ませた政治の失策がよく分かりました。
特に、軍部大臣を退役軍人に限定していたのを現役軍人でも就任可能としたのが相当な悪手だったようです。
現役軍人の方がまだ軍首脳部の言うこと聞くんじゃね?と思ったそうですが、これがとんだ誤算だったみたいですね…
あと、盧溝橋事件直後不拡大方針を取ったことが逆に戦線を拡大する原因になったというのもなんだかなあ…とため息が出ました。
ずるずるずると悪い方に悪い方に進むのが日本政治のクセなんでしょうか。
そう考えると戦後も本質は何も変わっていないですね。
自分の戦争観や日本人観が偏ってると感じている方、自覚はないけど偏ったら嫌だなと思っている方は上記二冊だけでも読むことをおすすめします。
エンタメ教育本や、今流行の教育系Youtuberでは絶対に踏み込めない深さと客観性を持ち合わせた良書です。
長いのとエンタメ的面白さが皆無なので疲れますが、読む価値はあります。