僕がギターキッズだった頃は、ギターを弾く=人と合わせるというのが当たり前でした。
90年代だったので弾き語りは全然流行ってなく、ソロギターも一部のジャズミュージシャンが行うマニアックなジャンルでした。
もちろんDTMもなかったので、ギターを弾くということは人と合わせる、バンドを組むことと同義語でした。
しかし今は一人でギターを弾き、活動することが可能な時代です。
ソロギターや弾き語りはもちろん、練習風景を動画に撮ってUPするということもある種のパフォーマンスとして成立しています。
それはそれで今はそういう時代なので賛成も反対もありません。
ただ、ある程度真剣に音楽をやるのなら絶対に人と合わせる経験が必要だということも知っておいたほうがいいでしょう。
一人で音楽活動することがダメだと言っているのではありません。
一人でずっとやっていては分からないことが沢山あり、それを経験しているのとしていないのでは伸びしろが全然違うということです。
一番顕著なのはグルーヴ感でしょう。
ただタイムに合わせて正確に弾くだけではグルーヴ感は出ません。
複数の人間の固有のタイム感やクセ、さらには気持ちなどがおり合わさって化学反応が起こったときにグルーヴが生まれます。
これは一人でギターを弾いていてもまず分からないでしょう。
また、音楽はよく音で会話すると言われますが、これも一人で弾いていては分かりません。
弾き語りだったら自己完結できるから関係ないと思う人もいるかもしれませんが、弾き語りなのに歌とギターがかみ合っていない(会話していない)という演奏もあります。
その他言い出したらきりがないくらい、人と合わせることに意味があります。
もちろん人と人の関わりなのでめんどくさいこともいっぱい起こります。
人にもよりますが、まず一緒に合わせてくれるメンバーを見つけるのに苦労する人もいるでしょうし、やっとそろったメンバーのソリが合わないということもよくあります。
仲は悪くないけど技術や熱量に差があってうまくいかないということもあります。
こちらの記事で書いたように、
悪意ある人間に踏みにじられるということもあるでしょう。
そういった面倒を最初から避けるために一人で音楽をやるという気持ちはよく分かります。
しかし、それでも人と合わせる経験は絶対に必要だと断言します。
人間関係が面倒なら一度かぎりのセッションなどでもいいし、本当に仲のいい音楽仲間と内々でやるだけでも構いません。
人と合わせた経験を経て、最終的になにをやるかは自由です。
ソロギターでもいいし、一人多重録音や、オケに合わせて演奏し動画にUPするのでもいいでしょう。
ただ、一度も誰とも合わせたことがないまま何年も音楽をしているというのは音楽的に不健全だし、大事なものが抜け落ちていると思ってほしいです。