個人的に思うJ-POPの悪い部分を挙げてみます。
なお、ここで言うJ-POPは比較的広い意味での日本のポピュラーミュージックだと思ってください。
あんまり議論されているのを見たことがないのですが、J-POPって世界的に見て公益性がかなり重視された音楽だと思えます。
この場合の公益性とは、人や社会を勇気付け、励まし、明るくするような、社会的に「正しい」楽曲や歌詞、アーティスト像のことです。
結局J-POPで売れるのってこういった公益性があるものばかりです。
確かにそうした音楽もいいのですが、一方でダークで退廃的、メランコリック、ときには反社会的な音楽もまた魅力があるものです。
90年代ぐらいはまだそういったアーティストも地上波の音楽番組に出たりしていましたが、2000年代ぐらいからめっきり減った気がします。
今は皆無でしょうね。
まあギャングの音楽がチャートを席巻する国もどうかと思いますが、J-POPはもっと人間のダークな部分も受け入れた方がいいと僕は思います。
音楽に公益性を求めるぐらいですから、当然ミュージシャンにも同様に公益性を求める人が多い気がします。
近年はクスリはもちろん、浮気、不倫程度で活動できなくなるほど世間が厳しくなっています。
高潔な人物でなければ活動もできないJ-POPって窮屈だなーと思います。
まあ、表向きはそうしといて裏では……て人も多いと思いますが。
おかしい人の方が面白いものが作れるってだいたい分かってると思うので、音楽ファンも世間ももっとミュージシャンにはおおらかになった方がwin-winになれると思うのですが……
正しい人しか売れないからつまんなくなっていくんですよね。
オーディオをグレードアップしていく過程ではっきり見えてきたのが、J-POPの音の悪さです。
ヴォーカルは不自然にでかく、ベースは膨らみすぎて低域に埋もれてる、謎のアコギチャリチャリ、分離が悪く各楽器がくっついている、コンプで楽器の質感を殺しまくる、耳に痛いハイ……
もちろん全部じゃないけど、だいたいこんなんです。
J-POPで音いいなーと思った楽曲、アルバムは本当に数えるほどしかありません。
何より不思議なのが、わりと長く濃い音楽文化を持っていて、世界的名機と呼ばれる機材もたくさん生んできた国のはずなのに、2022年でもまだJ-POPサウンドというものが確立されていないことです。
K-POPは既に独自のサウンド持ってるのに……
「これがJ-POPサウンドだ!」というものがあれば教えてください。
ぜひ聞きたいです。
J-POPシーンは上が詰まって、幅をきかせすぎている気がします。
2022年の今でもサザンやユーミン、玉置浩二に山下達郎など70年代80年代のアーティストがチヤホヤされているのは日本ぐらいじゃないでしょうか。
以前K-POPのプロデューサーがインタビュー動画で、「J-POPは老人の音楽だよね」と批判していたのを見て、ぐぬぬとなったことがあります。
悔しいけど正論です。
演歌じゃないんだから、音楽ファンはロートルアーティストを見限ってさっさと新しいアーティスト追っかけたらもっとJ-POPに新陳代謝が起こるような気がします。
そういう意味で、アイドルは世代交代が早く新陳代謝がいいフォーマットである気がします。
もしかしたら、J-POPの中でアイドルが一番健全なのかもしれないとふと思いました。
50、60のロックミュージシャンが数少ないポストにでーんと居座り続けているのって、どう考えても健全ではないですよね……
若いうちにせいいっぱい輝いて散っていく……ロックにはもうそんな美学はなくなりました。
それを体現しているのはむしろアイドルです。
J-POPは長年アメリカの音楽をお手本とし、そこに追いつけ追い越せでやってきたくせに、どこか建前として「俺らは俺らだし」というポーズを崩さずに格好つけてきた感があります。
そうしているうちに、あっという間にK-POPに追い抜かれてしまいました。
今やK-POPはシーンそのものが海外へのアクセスを持っています。
J-POPはまだ偶然扉が開いたアーティスト、あるいは自力でこじ開けたアーティストでないとそれができないように見受けられます。
そうなったらなったで今度は悔し紛れにJ-POP再認識、再評価みたいな風潮が生まれてきて「J-POPすげー」と自画自賛したり、一方で昔のシティポップが海外で評価されると大喜びしたり……
海外での評価や活動に一本筋が通ってないのがJ-POPの悪いところだと僕は思います。
日本はドメスティックマーケットが変に大きいので、変に海外で勝負しなくてもいいってのがネックになっているんでしょう。
他にもいろいろありそうですが、今回はこのへんにしておきます。
個人的にはとにかく音がよくなってほしいと切に願っています。
いい曲はいっぱいあるのに耳に痛くて聞いてられないというものがとても多いので。