5月16日のすっきりを観ていると、興味深い特集が組まれていました。
それは、若者のイントロ・ギターソロ飛ばし問題。
高野寛さんというミュージシャン/大学教授のツイートから広がった話題だとか。
番組によると、若者の2割はイントロやギターソロを飛ばして聴くんだとか。
これを観てギタリストの僕は不思議がったり驚いたわけではなく、むしろ納得して深く頷いていました。
そもそもこのブログで、「ギターヒーローはもう必要ない」「ギターはこれから普通の楽器になっていく」「ギターはアンサンブルの一要因としてのみ必要とされていく」と何度も言っていました。
別に未来を予測したわけではなく、僕がそう感じた時点で音楽がそうなってきているのは明らかでした。
そして、一度始まった現象は止まりません。
ギターヒーロー不要の時代はここから20年は続くというのが僕の予測です。
僕は以前からギターという文化はまだまだ成熟していない、子供のようなものだとも言っていました。
今回の話題で、ギターソロが要らないと突きつけられただけで大騒ぎしているギタリストたちを見て、改めてそう思います。
まるで大好きなおやつを禁止された子供だな……と。
ソロが不要と言われて地団駄を踏むような楽器はまだまだ未成熟ですよ。
だからギターは一旦落ちるところまで落ちた方がいいです。
そこからこの楽器の本当の意義がやっと見えてくるはずです。
じゃあこれからギタリストは何をすればいいのか?
これも何度も言ってますが、アンサンブルに貢献できるヴォイシングを学び、実践することがこれからギタリストが生き残れる数少ない道の一つです。
イントロもない、ギターソロもない楽曲でギターに求められるのは、バッキングです。
そこでパワーコードとトライアドのオープンコードしか知らない人と、あらゆるコードをあらゆるヴォイシングで使いこなせる人、どっちが呼ばれるかは目に見えています。
また、教える側もそういった内容にシフトチェンジしていく必要があると思います。
先日イングヴェイ弾いておいてなんですが、ああいうのを習いに来る人もこれからどんどん減っていくでしょう。
だって、求められていないですから。
ギター不遇の時代、ギターヒーローが死んだ時代にギターで生き残りたい人は、今すぐヴォイシングの勉強をはじめましょう。
何したらいいのか分からない人は拙著「ギタリストのためのハーモニー」からどうぞ。
余談ですが、僕は時代に対して一切抗わないようにしています。
イントロを飛ばしたりギターソロを飛ばすことが当たり前になってきたのも、そういう時代だというだけです。
もちろん音楽は最初から最後まで聴かないと分からない部分がありますが、じゃあクラシックの交響曲を全楽章毎回聴けるかというと、無理でしょ?
それに、「イントロ飛ばすなんてけしからん!」と怒ってる人も、アルバム1枚通して聴けますか?
20年前は当たり前でしたが、今アルバム最初から最後まで聴ける人はほとんどいないでしょう。
僕も無理です。
それがさらに進んで、1曲通して聴けない(聴いてもらえない)時代になったというだけです。
そして、時代は不可逆です。
クリエイターはどんどんイントロ、間奏を削った曲をつくり、やがてそれが当たり前になっていくでしょう。
そして、ギタリストの見せ場はイントロやソロではなく、バッキングに移行します。
その時代にギタリスト(ギター講師)として生きていくために何をするのかってことです。
もちろん抗うのも自由ですが。