これまでの記事。
ここまででコードのの引き算、転回形、さらに引き算、そして転回形を動かすということをご説明してきました。
では最後に転回形でコードをつなげていきましょう。
まずは原型のヴォイシングを把握しましょう。
よくあるルートから弾くコードで構いません。
例えばC D-というコード進行があったとしましょう。
原型の一例として、こういうヴォイシングがあります。
これを本記事シリーズに則って小さくすると下図のようになります。
黒丸が押さえる音、点線が原型の音。
それぞれのコードの2・3弦のセットを使っています。
もちろん1・2弦でもいいし、1・2・3弦を使っても構いません。
そこは楽曲やアンサンブルによって随時変化します。
ゴリゴリのギターロックなら原型の方がいいですしね。
こうした小さいヴォイシングでコードを動いていくと、単体で弾いても何を弾いているのかさっぱり分かりません。
しかし、アンサンブルの中で弾くと隙間にピタっとフィットする使い勝手のいいヴォイシングになると思います。
ベース、ドラムに加えて、アンサンブルにギター2本、ピアノ、ホーンなんかあった日には大きいギターコードなんて邪魔でしかありません。
だからこうしてどんどん引き算していき、ハーモニーの隙間を狙っていくのです。
上記は近場でヴォイシングをつくり、コード自体はもちろん、ハーモニーの動きも小さくまとめました。
しかし、コードは小さくてもCからD-に移行する際にもっと動きが欲しいという場合もあります。
その際はD-のコードを展開させてあえて遠くしてみましょう。
例えばこのように。
Cは同じでD-を転回させています(ポジションが高くなっている)。
また、今回は1・2弦のセットを使っています。
こうすると小さいコードながら動きが出てきます。
もちろんこれがハマるかどうかは楽曲やアンサンブルによって変わってきます。
さて、これまで見てきた引き算や転回形を使うと、ヴォイシングにチョイスができることが分かります。
以前ご説明した通り、1つの原型から10ものヴォイシングが派生するので、2つのコードで10×10で100通りとなります。
コードが3つ、4つと増えていけばもう天文学的なヴォイシングが可能となります。
しかも現時点ではまだトライアド(3和音)しか扱っていないので、7thコード(4和音)やテンションが加わるとヴォイシングは無限となります。
その中で自分だけのヴォイシング、自分だけの動きを見つけることで、アンサンブルにも貢献でき、しかもオリジナルなバッキングが可能となります。
それが自分のキャラクターとなり、やがて仕事につながっていく可能性は十分にあるでしょう。
プロを目指しているのにこれを全くやらないという人は確実に損をしています。
もちろん「そんなもん知るか!」でバリバリプロ活動しているギタリストもいるでしょうが。
シリーズ中にも書きましたが、こうした小さいコードヴォイシングのテクニックはプロの現場で即使えます。
これからプロを目指す人、現在プロ活動をしているけどコードワークに悩んでいる人はぜひ横浜のギター教室までお越し下さい。
指板ベースで体感的に教えているので理論が苦手でも身につけられますよ。