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久々にユルスナールの「とどめの一撃」を読んだら前より読めた

ユルスナール(1903~1987)

僕の好きな作家さんで、フランス貴族の末裔です。

本名はマルグリット・アントワネット・ジャンヌ・マリー・ギスレーン・クリーネワーク・ド・クレイヤンクールだそうな。

「ド」が貴族の称号です。

本人は貴族出身の身分を嫌ってか、CrayencourのアナグラムとしてYourcenarをペンネームとしたそうです。

ほぼ現代の人ですね。

フランス文学が好きな人にはわりと有名です。

三島由紀夫なんかとも親交があったとか。

「とどめの一撃」

数年前に買って初めて読んだんですが、これは何の拷問だろうというぐらい文章がまどろっこしくてわかり辛く、短い作品ながら読むのに相当苦労した上に内容は全く理解できませんでした。

一応これでも純文学は読んできた方だし、フランス文学は好きだし、書き手でもあるんですが。

それぐらい難解な文章で、各文節最低でも二度か三度読み返さないと意味がわかりません。

しかも一人称独白体なので、時間や出来事がポンポン飛んでいくので、一文一文ちゃんと理解して進まないとすぐに何が起こっているのかわからなくなってしまいます。

その一文一文が難解でなかなか理解できないというのがくせ者。

読書の難易度でいうと、間違いなく最上級クラスの作品です。

内容

内容はそんなに難しくなく、主人公のエリックと、友人のコンラートと姉のソフィーとの友情・愛憎劇です。

時代は第一次世界大戦、舞台はバルト海の辺り、実際にあった事件を題材にしたそうです。

混乱の中の人間ドラマという点では非常に分かりやすいし、文学作品にしてはめずらしくクライマックスが劇的なので、最後までたどり着けばそれなりにエンタメしている作品です。

文体

作中の文章をいくつか抜粋します。

 

私は彼の中に、私の中で育てられ、しかも同時に抑圧されてもいた能力、つまりなにものにも執着せず、すべてを味わいながら同時に全てを軽蔑する能力を認めていた。

 

予測不可能な特異性を考慮しなかったからといって彼女を責めるわけにはいかない以上、この漠然とした本能的計算は正しかったと言わなければならない。

 

しかしある日ふと思ったのは、ソフィーを映画や大衆小説のマタ゠ハリに仕立てあげることは、もしかしたら友人にとって、姉の栄誉を高め、狂ったようなあの目の大きな顔に、人の心を捉えずにはいられない美しさ、弟として盲目状態に置かれていたために、それまで観てとれなかった美しさを付与する素朴な方法なのかもしれないということだった。

(岩波文庫 岩崎力訳)

 

僕が特別まどろっこしい文章を選んでいるわけではありません。

適当に拾っただけでこんな感じです。

だいたい8割ぐらいこんな文章です。

心の微細な動きを正確に、やや警句的に表現し、行間に適度に詩をまぶした文体という感じがします。

めんどくさいフランス文学の中でも、特にめんどくさい文体ですが、僕は好きで自分の小説にも引用しています。

やっとちゃんと読めた気がする

今回で3~4回目ですが、やっと一文一文を理解し、味わって読めた実感がありました。

読書力が上がったんでしょうかね。

特に今回は主人公の意識の中に入っていけた感じがありました。

こういった体験がちょっとずつ自分の執筆にもいかされていくのはわかっているので、いずれまた自分の文章に変化をもたらしてくれるのかもと期待しています。

ユルスナールをからインスパイアされた作品

ちなみに、僕の「戦争と娼婦」という作品はこの「とどめの一撃」のある一文からインスパイアされて書きました。

冒頭にユルスナールの引用があります。

解説もあるので暇な人はどうぞ。

あと、「ギタリスト身体論3」のあとがきにも、ちょっとだけユルスナール風の文体で書いている箇所があります。

まあ誰もわからんと思うけど。

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