僕はよく「主題」という言葉を使います。
簡単に説明すると「作者が言いたいこと」です。
ただしこれはストーリーやオチ、着地点といった表面的なことではありません。
作者が作品を通じて言いたかったこと、作品の奥にあって表面にはどうしても出て来ないこと、それが「主題」です。
といっても作者がわざと隠しているとか、意地悪しているということでもありません。
主題というものは、どうしたって作品の奥に奥に入ってしまうものなのです。
それをつかみ取れるかどうかでその作品の味わい方、理解度が全く違ってきます。
だから芸術全般を鑑賞するとき、主題が読み取れるようになった方が断然楽しいと僕は考えます(もちろん主題らしい主題がないものもある)。
ただ、主題を読み取れるようになるための訓練というものはありません。
強いて言えば主題がしっかり存在する芸術を沢山鑑賞することでしょう。
あと、現代は説明の時代なので、主題をしっかり読み取ってちゃんと説明している人の本や動画を観るというのも勉強になります。
そこで僕がおすすめしたいのが、岡田斗司夫さんのジブリ解説シリーズです。
一時はTVによく出ていたので、そっちで知っている人がいるかもしれません。
昨今はネットでのアニメ講義や解説動画などで知られているようです。
元々ガイナックスにいた人で、「王立宇宙軍オネアミスの翼」や「不思議の海のナディア」などのプロデューサーです。
庵野秀明とは戦友みたいな関係。
アニメ界の重鎮の一人ですね。
この人が近年力を入れているジブリ作品の解説がまー面白いんです。
岡田氏は、宮崎駿を研究対象とし、ジブリ作品を膨大な資料と元アニメプロデューサーという立ち位置から丁寧に読み解いていきます。
主題はもちろん、構成、メタファー、作画、演技、その他裏話まで縦横無尽に語りつくします。
それが変に上から目線でもなく、業界的でもなく、かといってサブカルすぎもせずいい感じに学問しながらエンタメとして成立させています。
話もうまいですしね。
そして視点がめちゃくちゃ細かくて的確。
仮に「天空の城ラピュタ」を100回観て、資料も読んだという人でも、岡田さんの話の8割は知らないこと、気づかなかったことだと思います。
とにかく、このジブリ解説シリーズを観ると、物語はストーリーやキャラ造形や伏線、オチだけじゃなく、もっと深いところに何かがあるものなんだということを学べます。
しかも、ジブリ作品という誰でも一回は観たことのあるお話で学べるという点がありがたいところです。
現在、公式かどうかわかりませんが、各解説の完全版がUPされているのでお好きな動画からどうぞ。