ジャズを練習する際、最も注意するべきことはマンネリ化です。
一応弾けることは弾けるけど、何度やっても同じアドリブにしかならないという状態に陥ってしまうと楽しくなくなってきます。
そこで、マンネリ化を防ぐためによく行われるのが、楽曲の変更です。
ジャズにはスタンダードが無数に存在するので、なんとなくマンネリ化してみたら曲を変えてみるということをよくやります。
これは講師側からしてもわりと手っ取り早く次に進めるので楽だったりします。
しかし、曲だけ変えても本質的には何も変わりません。
当たり前っちゃ当たり前ですよね。
Autumn LeavesはマンネリになるけどAll The Things You Areは多彩に弾けるなんてことはあるわけがありません。
じゃあなんで曲を変えるのかというと、リフレッシュのため、言い方を変えるとその場しのぎです。
新しい曲をやると新しいコードが出てきて、その分前と違うアプローチが必要になるので新鮮な気持ちになれるのは当然です。
しかし、その曲もそこそこやりこんでいくとまたマンネリになってきます。
そこでまた新曲、マンネリ、新曲、マンネリと何回繰り返しても同じことです。
ただマンネリで弾けるスタンダードが増えただけです。
ジャズをやる人は絶対にこのサイクルに一度はハマってしまったことがあると思います。
ジャズのアドリブでマンネリを脱却するためには、アドリブに対する姿勢、attitudeを変える必要があります。
僕の横浜ギター教室で言うと、「手の内から一歩踏み出す」ということです。
いつものフレーズ、いつものアプローチで一応アドリブを成立させることはできる、だからこそいつもと違うフレーズ、いつも使わない音、いつもと違う休符を使って冒険してみる。
この姿勢があればどんな曲でも、何度弾いてもマンネリにはなりません。
もちろん、人が聞いたらだいたい同じになっているかもしれませんが、本人の中では冒険しているということもあります。
ジャズを演奏する人ならわかると思いますが、冒険すると必ず失敗します。
その失敗を避けようとすると、もうマンネリ化ははじまっています。
特に、技術や知識がついてくると、失敗を避けることはわりと誰でもできるようになります。
しかし、そうするとジャズを弾いていてもジャズになりません。
一方、まだ全然弾けないけどがんばって知らない音を弾いてみようとする姿勢を見ていると、不思議とジャズを感じるものです。
その姿勢さえあれば後はどんなアプローチをしてもいいと思います。
マンネリというと、まだ全然弾けない人は自分には関係ない話だと思うかもしれませんが、実はかなりの初期段階からもうはじまっています。
あるコードやコード進行に対して「正解」を知り、それを弾けるようになった時点でもうマンネリ化が始まっていると考えていいでしょう。
それを早めに発見し、正解は弾けるけどあえて正解から一歩踏み出して冒険するという癖をつけていくのがジャズの学び方です。
それをしていかないと、気がつけば何を弾いても同じ、しかもそこからどうしても脱却できないという状態に陥ります。
また、その状態が長く続くと、そこからもう一歩踏み出す、冒険するということができなくなります。
だからマンネリ化は初期の初期から認知し、対処していく必要があるのです。