最近部屋の収納や作業スペースを見直したくて、ガジェット系や収納系の動画をよく見ていました。
モデルルームのように隅々まで統一されたお洒落な仕事部屋で、ひとつひとつの洗練されたガジェットを芸能人さながらのイケメンが地上波TV顔負けのクオリティの動画で紹介していたりすると、軽い思考停止になり、ついそれらの商品をポチってしまいそうになります。
不思議なもので、TVだと即座に疑念が湧き、裏側を憶測してしまうのに、YOUTUBEだとそれがかなり薄まってしまい、つい信用しそうになります。
たぶん、その辺の心理はYOUTUBEも企業も既に把握していて、マーケティングに利用されているらしい、というのがなんとなくわかってきました。
もしかしたらこの感覚は遅れているのかもしれませんが。
掲載はしませんが、ガジェット系Youtuberの作業部屋紹介動画を見ると、あまりにも洗練されすぎていて『本当にそこで仕事できんの?』と思ってしまいました。
どんなに洗練させても、仕事ってもっとむさ苦しくて生々しいもののはずです。
収納ありき、見栄えありきでは対応できない部分が絶対に出てくると思うのですが。
もちろん、動画用にある程度脚色を付けたり整理整頓して撮影しているんでしょうが、それにしてもあまりにも綺麗すぎておかしいというものがいくつかありました。
しかも、そういう動画の方が惹きつけられるんですよねえ… 実際に登録者も多いし。
デスク周りのガジェットを検索していると、やはりモデルルームみたいな隙のない「仕事部屋」で、お洒落なガジェットを紹介している動画が出てきました。
紹介の仕方も上手で、所有欲を見事に刺激し、それを持ったら自分もバリバリ仕事できそうなイメージをかき立ててきます。
同じガジェットで検索すると、やはり隙のない「仕事部屋」で、そのガジェットをスタイリッシュに撮影しています。
しかし、いくつか見ていると、不思議な感覚に見舞われました。
なんか言ってることが一緒だし、悪いところを全く紹介していません。
ということで、商品はブックマークしつつさらに検索。
GOOGLEで同じ商品を検索して調べてみると、部屋で使うときに一番気を付けないといけない点が丁寧に解説されている記事を発見しました。
よく考えれば当たり前だし、もしAmazonでその商品を最初に発見してたらすぐに気がついたでしょう。
しかし、お洒落な部屋でお洒落なYOUTUBERが紹介していたことで、そういった当たり前のことが思いつかない(思いつけない)ようになっていました。
これはある種の洗脳でしょう。
企業がイメージキャラクターを起用する理由が改めて理解できました。
商品より先に強烈なイメージを植え付けることで、人は思考停止となりつい購入してしまうんでしょう。
ちなみに、YOUTUBEで紹介されていたある商品をもしポチって無理矢理使おうとしていたら確実に部屋が狭くなっていました。
もちろんその点については動画で一切紹介されていません。
僕が見逃していた可能性もありますが、要はそんな大事なことを見逃すレベルでしか紹介していないということです。
改めてAmazonで同じカテゴリーで部屋に最適な商品を検索すると、1/3以下の値段でいいものが見つかりました。
見た目がちょっとダサくなりますが、確実にそちらの方が部屋のスペースを有効活用できます。
それ以降は気を付けながらガジェット系Youtuberの動画を見ていましたが、動画内でさらっと「こちらは前回紹介した○○を作っているメーカーさんからいただいたもので…」と言っていました。
なるほど、そういう関係性があったのか…
多分案件ではなく、本当に貰ったんでしょうが、忖度として紹介しているのは間違いありません。
だから悪いところを言わないんでしょう。
恐らくYoutuber側は、ガジェットを最初は自腹で買う→褒める→メーカーが見つける→くれる→また紹介する……というサイクルを最初から視野に入れているんだと思います。
メーカーも自発的にそれに乗っかっているんでしょう。
これ自体違反ではないのでしょうが、実際に自室で使えないものを買いそうになったので個人的には害だと思っています。
TVはもはや嘘ついてないふりができなくなっています。
しかし、YOUTUBEはまだ嘘ついてないというふりができる媒体です。
組織は嘘をつくけど個は嘘をつけない、つきにくいという先入観があるからでしょう。
誰にもしばられていない個人が自由なネットメディアで嘘を紹介するはずがない!
誰もがまだぼんやりとそう感じているはずです。
だからYOUTUBEで紹介されたモデルルームのような「仕事部屋」で、その人は本当に普段仕事をしている、いいところだけ紹介された夢のようなガジェットで快適な作業を行っている……と信じてしまいます。
裏でなにをどうしているか一切知らないのに…
て、これって単純に数十年前のTVそのものですよね?
たぶんあと十数年して誰もが「YOUTUBEは嘘ばかり、YOUTUBEを信用するな!」と言い出す頃には、次の”信用できる”メディアに騙されているのでしょう。
怖い怖い…
ネットを鵜呑みにして騙されないためには、検索方法を考えるべきです。
あえて2ページ目、3ページ目から読んでいくとか、トップ10の動画は最初から観ないとか。
そうしないと、検索エンジンにとって都合の良い情報に振り回されたり、SEOに長けた人に利用されてしまいます。
僕もこれから気を付けていこうと思います。
そろそろネット検索を「便利なもの」ではなく「難しいもの」と認識を改めたほうがよさそうですね。