J-POPの十八番といえば、サプライズ転調です。
意味分からんところでいきなり転調するアレです。
ざっくり言うと小室哲哉が元祖でしょう。
小室さん作曲の乃木坂46「Route246」でもイントロで転調してますねw
これぞ小室節、小室転調といった構成です。
まあ、サプライズ転調は遡るとジャズに行き着きますが、発生史的な話は置いといて。
近年、サプライズ転調はインフレの一途をたどっています。
イントロから最初のサビまでで5回転調なんてのも珍しくありません。
アニソンの影響が大きいと言われていますが、その辺の考察も今回はパス。
僕が言いたいのは、サプライズ転調は必ず終わりが来るということです。
なぜなら、急激な転調が当たり前になればサプライズ効果がなくなるからです。
恐らく今は、まだ誰もやってない転調を作家が必死で探している最後の段階でしょう。
まだもう少しはサプライズ効果のある転調が残っていそうですが、それらをやりつくしたらもうおしまいです。
ごく一部の勘の良い作家が次のトレンドに向けて舵を切り、残りの多くは出遅れて失速したり沈没していくでしょう。
転調がサプライズでなくなるなら、もっと凄いサプライズを用意すればいいと考えがちですが、それももうこの10年でやりつくされているといっていいでしょう。
個人的にはヒャダイン系と呼んでいる、アレンジにおけるサプライズです。
ジェットコースターのようなめまぐるしい展開や、1曲の中に数曲入っているようなごった煮アレンジ、複数ジャンルを混ぜてひとつにするのではなく、セクションごとにジャンル変更するようなアレンジなどなど……。
もはやサプライズがサプライズでなくなっていると言ってもいいでしょう。
「じゃあどうすりゃいいんだ?」と頭をかかえる作家志望の方に僕なりの予測を提示しておきましょう。
ヒントは
カウンター
リサイクル
です。
まず、文化は常にカウンターで生まれてきます。
音楽もそうです。
だとすれば、次に生まれるものは今のカウンターだと予測することができます。
今、サプライズ転調とジェットコースターのようなアレンジが流行しているということは、次はそのカウンターで調の安定したシンプルで分かりやすい楽曲が流行すると予測できます。
もしかしたら瑛人の「香水」はその前兆なのかもしれません。
また、文化は常にリサイクルします。
私見ですが、その周期は20年~30年です。
僕が中学生の頃、90年代に60、70年代ブームが起こっていました。
00年代に入ると80年代っぽいサウンドやファッションがリバイバルしました。
これは現在も続いているように思えます。
では20年代は……?
そう、90年代のリサイクルが来ると予測できます。
あいみょんがその先駆けなのかもしれません。
90年代っ子の僕からすれば、あいみょんの存在は『なんでこんな古くさいことをこんな若い子がやってんだ?』と不思議で仕方ないのですが、もしかしたら来る90年代ブームの先頭に立っているのかもしれません。
まあ、知らんけど…
作曲をやってる生徒さんにいつも言うことですが、次の時代を掴みたい人は古い音楽をしっかりと勉強しておくのが一番です。
なぜなら文化はリサイクルされるからです。
全く新しい何かをクリエイトするよりも、過去のどれが次来るかを考えた方が乗っかれる確率が高くなります。
サイクルとしては90年代が来る時期にあるので、今から90年代の音楽を勉強しておくとどこかで役に立つかもしれません。
まあ、それも知らんけど…
余談ですが、個人的にはあらゆる音楽稼業の中で作曲家が一番しんどいと僕は思います。
楽したい人は作曲家だけはやめといた方がいいでしょう。