八幡謙介ギター教室in横浜講師のブログ

ギター講師八幡謙介がギターや音楽について綴るブログ。

リズム、タイム、ビート、グルーブなどのリズム用語について


八幡謙介ギター教室in横浜

音楽のリズムにはいろんな用語があり、統一されていません。

ある人が言う「グルーヴ」と、別の人が言う「グルーヴ」は全然意味が違ったりします。

誰かの言っていることを鵜呑みにするのではなく、いろんな人の意見を一度全部咀嚼して、自分なりのリズム”観”(リズムに対する価値観)をつくっていくのが一番いいと思います。

ということで、リズムに対する僕の定義や捉え方を述べておきます。

これはあくまで僕の捉え方なので鵜呑みにしないよう注意してください。 

リズム

リズムという言葉が一番聞き馴染みがあると思いますが、実はこれはかなりざっくりした言葉です。

 

リズムという言葉や概念の中にいろんな要素や表現があるからです。

だから、ミュージシャンはあまりリズムという言葉を使いません。

もう少し突っ込んで、タイムやグルーヴというリズムの中の限定された要素について話したり実践しています。

例えば、「リズムが合ってない」と言われても、ミュージシャンは逆に何のことか分かりません。

合ってないのがタイムなのか、グルーヴなのか、ビート感なのか、表現としてなのか、世界観としてなのかをはっきりさせないと対応できないからです。

リズムをリズムとしてしか捉えられていない人は、それよりも細かい概念を知っていきましょう。 

 

 

タイム

リズムの要素として一番理解しやすいのがタイムです。

タイムとはその名の通り、時間のことです。

これは完全に物理的概念で、数値として0.01秒単位で認識します。

DTMをやる人はms(ミリセカンド)という単位に馴染みがあるはずです。
 

上記の「リズムが合っている/合っていない」は、だいたいがこのタイムのことです。

タイムがずれていると演奏がガタガタしてぎこちないものになり、聴いていても違和感を感じます。

だから初心者はまずタイムを安定させる訓練をしていきます。

ここでややこしいのは、タイムは合っていればいるほど基本的にはいいとされるのですが、あるレベルを超えると逆に絶妙にずらした方がいい場合も出てきます。

その方がグルーヴするからです(後述)。

楽器を中途半端にやっているとタイム信仰に陥ってしまい、タイムが合っている=善、タイムがずれている=悪という偏った音楽観を持ってしまいます。

まあそれは別問題として、タイムとはリズムを数値化した概念と認識しておきましょう。 

パルス

リズムの概念としてパルスという言葉を使う人もいます。

英語で脈拍、鼓動、波動といった意味があります。

絶対的な概念であるタイムと相対する概念として、自然なリズムという意味で使う人もいますが、個人的には「パルスが云々」と言っているミュージシャンは会ったことがありません。

正直これは無視していいと思います。

僕もこの言葉は使わないし、意味もわかりません。 

ビート

8ビート、16ビートなどで馴染みのある言葉ですが、意味はと訊かれるとちょっと答え辛いです。

個人的には、

 

それぞれのジャンルを形成するリズムの根幹

グルーヴの種

アクセントの下味

楽曲を構成するリズムの基礎構造

 

といった解釈をしています。

もちろんこれでは何のことか分からないと思いますが、正直説明するのは無理です。

なぜなら、タイムと違って物理的概念ではないからです。

これはグルーヴと比較すると少し分かってくると思います。

グルーヴはバンドや個人が持つ固有のノリですが、ビートはもう少し俯瞰で見て、ジャンル全体のノリだと考えます。

リズムを聴いて「ロックっぽい」とか「ファンキーだね」と感じるのは、そういうビートで演奏しているからです。

また、ビートは比較的パターンに根ざしています。

ドラムがいわゆる8ビートのパターンを叩くことで、ロックっぽいビートが形成されます。

ただし、誰がやってもそうなるとは限りません。

他ジャンルのドラマーが8ビートを叩くと「なんか違うんだよな」となるのは、パターンは合ってるけど、ビート感やグルーヴ感がそのジャンルと合っていないからです。

この辺はどうしたって説明不足になるので、それぞれで研究するか、教室に訊きに来てください。

 

とりあえず、8ビート=8分音符主体のリズム、16ビート=16分音符主体のリズム…といった単純な理解は一度捨てましょう。

 

 

グルーヴ

これもよく使われる単語ですが、実体がないので体感する以外に理解する方法がありません。

また、理解度の深さによっても言うことが変わってきます。

やはりいろんな人の言うことを聞いて、最終的に自分なりの理解を深めていくべきでしょう。

 

さて、僕の解釈としては、ビートよりももう少し狭い視野で、個人が持つ特有のノリのことをグルーヴとしています。

同じフレーズ、同じ楽曲でも演奏する人が違うと聞こえ方が違うというのは、グルーヴ感が違うからです。

また、ビートはフレーズやパターンそのものが既に内包していたり、あるいはそれらをどう演奏するかで違いを出したりしますが、グルーヴは一音一音をどう処理するかまで突き詰めます。

だから個人個人の違いが出やすいのでしょう。

図にすると

これらを図にするとこのようになります。

中心に向かうほどより音楽的になっていくというイメージです。

まずタイムが合わせられるか、次にそのジャンル固有のビート感を出せるか、最後に自分のグルーヴを表現できるか。

ちなみに、中心に向かうほどタイムはずれていく(数学的な正確さで演奏しないという意味)ので、その辺のイメージを間違えないようにしましょう。

<img src=”rythm.jpg” alt=”リズム用語”>

バイブス(おまけ) 

おまけとして、バイブスにも言及しておきます。

まず、これはリズム用語ではありません。

グルーヴと混同している人もいますが、バイブスは日本語で言えば空気とか雰囲気のことです。

音楽でよく使われますが、演奏やリズムよりも会場全体の雰囲気とか空気感について言っていることが多いと思います。