我々日本人からすると、ブルースといえば、黒人の伝統音楽であり、人種的誇りであり、奴隷時代から大切にし、育んできた文化遺産というイメージがあります。
それがちょっと大げさだとしたら、奴隷時代から誰もが楽しんできた数少ない娯楽というイメージでもいいでしょう。
しかし、ロバート・ジョンソンのドキュメンタリー「Devil at the Crossroads」を観て驚きました。
1930年代頃、ブルースは黒人社会において「悪魔の音楽(Devil's Music)」とされ、良識的な人たちからは忌み嫌われていたそうです。
教会の神父は「BLUESみたいな悪魔の音楽を聴くな」と説教したそうな。
あと、ロバートが妊娠させた女性が母子ともに出産で亡くなったとき、相手の父親からは「お前が悪魔の音楽を演奏したからこうなった」と言われたとか。
お…思てたんと違う……
ブルースマンといえば黒人コミュニティのヒーロー、語り部みたいなもんかと思ってたのに、結構ショックでした。
まあさすがに僕もこの歳まで「奴隷として連れてこられ、自由を奪われたことへの嘆きがBLUESを生んだ」なんて取ってつけたような理解はしていませんでしたが、まさかブルースが「悪魔の音楽」と呼ばれ、黒人コミュニティでも忌み嫌われていた側面があったとは。
歴史とは奥深いものです。
BLUESって知れば知るほど近寄らんほうがいい気がしてきます。