2020年9月、京都精華大学の教授がSNSで松任谷由実氏に対し暴言を吐き、炎上しました。
ニュースでも取り上げられ、大学教授がなぜこんな失言をSNSでしてしまうのかと不思議がられていました。
こういった、賢いはずの人がSNSで失言し、炎上するケースは後を絶ちません。
恐らくこれからも定期的に出てくるでしょう。
ではなぜそうした一般人よりも知識を持ち、文章にも精通している人達がSNSで簡単に失言してしまうのでしょう?
以前こちらで書きましたが、
SNSはおそらく人類史上初めて感情と文章を直結させることに成功した装置です。
それ以前は、基本的に感情のままに文章を書き、それを世間にすぐ発表するということはできませんでした。
このことを念頭に置いて考えてみましょう。
そもそも文章を書いたり読んだりしてこなかった人からすると、原則として何を言ってもいい、どんな言葉遣いでもいいSNSはとても楽で使いやすい文章媒体だと思います。
では、学問として文章を扱ってきた人からするとどうでしょう?
普段、一字の誤字脱字やちょっとした矛盾も許されない、ほんのちょっとの感情の動きや私情の介入も戒められる、正確なデータの裏付けや高い論理性、公益性を常に文章に求められる……そんな人がSNSを手にしたらどうなるか?
たぶん、一般人の何倍も脳みそから変な汁が出てると思います。
だって、上記のような緊張を一切感じず、感情のままに好きなことを書くことが許されるんですから(社会的には許されないようになってきているが、システムとしてそれが可能)。
学生時代から何十年も、学問のツールとしての文章に抑圧されてきた知識人は、SNSを手にすることでそれを一気に開放することができるようになったのです。
このカタルシスは一般人の比ではないでしょう。
そうしてある種ハイになった状態でSNSに書き込むので、本来頭のいいはずの人が失言に気がつけないのだと推察します。
私見ですが、仕事で文章を書いている人、特に学者さんはSNSに向かないし、危険だと思います。
精華大学教授のように、普段学問として考えているキワドイ内容を、リラックスした無防備な状態で書いてしまう恐れがあるので。
また、世の中の人は成功者の失敗が大好きなので、今回の炎上事件のように「大学教授のくせにSNSの使い方も知らないのww」と必要以上にさらし者にされ、下手をすれば職務を追われる可能性も出てきます。
学者さんがSNSやるなら仕事と同じ緊張感でやるべきだし、それができないのならやめた方が賢明です。