生徒さんが購入された国産アコギメーカーのヤイリギターを弾きました。
以前から名前は知っていたのですが、弾くのははじめてです。
モデル名は忘れましたが、どっちかというと高級ラインのものです。
装飾がとても綺麗でした。
では感想をざっと述べていきましょう。
まだ新しいギターなのでとにかく「若い」という印象。
しかし、よく考えれば新品を弾いて「若い!」と感じられるギターってそうそうありません。
Martinもはじめて弾いたときは「若いな~」と感じた記憶があります。
アコギはそういうのが出やすいのでしょうか?
YAMAHAは変に完成した状態で出すので、そういうのを感じたことは一度もありません。
じゃあその若さって何? というと説明が難しいのですが、音が若干散らかっている感じと言えるでしょう。
ケーブルなんかもそうなんですが、エージング前は音の良さはあるものの、まとまりがなく散らかっている印象があります。
ギターは木材を使っているので、その散らかり方が「若い」と感じさせるのでしょう。
若さを感じられるギターは、エージングでの変化が楽しみのひとつです。
サウンドはどちらかというと高音に特徴があり、キラーンとした中に若干ギランという鋭さがある感じ。
芯もしっかりあって太い音なのですが、Martinほど低音がズドーンと響く感じではありません。
とはいえ、ボディはよく響いてかなり大きい音も出ますし、一方でソフトに弾いていくとキラキラした要素が目立ってきます。
いろんな音が絶妙に混ざり合っている感じはどこかウイスキーの「響」を思わせます。
間違いなくどっかで聴いてる音で、はじめて弾くのに「あ、Yairiの音だ」と分かりました。
そういえばYairi愛用者にロックミュージシャンが多かったはず……と調べてみたらびっくり。
ポール・マッカートニー、エリック・クラプトン、リッチ-・ブラックモア、イングヴェイ、カルロス・サンタナ、桑田佳祐、長渕剛、松本孝弘、福山雅治などなど。
そりゃどっかで聴いてるはずだわ。
ピッキングに対するレスポンスもかなりはっきりしています。
素直というよりは独特な反応です。
特にソフトに弾いたときに太さや芯が消えてキラキラ成分だけ残る感じは他のギターでは絶対に出ないでしょう。
エージングが進んだらあれがどう変化するのか気になります。
とってもいいギターなのですが、このギターで弾き語りは大変だろうなと思いました。
ギターの個性が強いので、普通に歌ったら確実に負けてしまいます。
Yairiで弾き語りをするには、相当しっかりした歌を身につけないといけないのではないかと思いました。
やはりバンドサウンドに合うアコースティックギターなのでしょう。
Yairiを弾いてみて、日本的な繊細さと同時にアメリカン魂を感じました。
自分はいいモノをつくったぞ、後はそれを使うお前次第だ! と試されているような感じがします。
これはアメリカン・プロダクトに必ず感じられるものです。
FenderやGibsonの頑固さ、難しさ、自由さと同じものをYairiにも感じました。
初代の矢入一男氏は60年代にアメリカで修行したそうです。
エレキギターとしては黄金期ですね。
アコギの世界では60年代はどうだったのか分かりませんが、ギターにとってのいい時代だったことは間違いないです。
そこで単なる技術以上の何かを掴んでこられたことは間違いないでしょう。
それがギターに現れています。
アコギにはそんなに興味ない僕ですが、Yairiギター普通に欲しいと思いました。
Martinもいいですけど、やっぱり日本人だからか、Yairiの日本人的な奥深さに惹かれるものがあります。
どうしてもアコギがもう一本必要になったら、間違いなくYairiを買うでしょうね…