八幡謙介ギター教室in横浜講師のブログ

ギター講師八幡謙介がギターや音楽について綴るブログ。

プロに「なんかやって下さい」は失礼だと認識した方がいい


八幡謙介ギター教室in横浜

関西や横浜のギター教室で定期的に「なんか弾いてください」とか「ジャズ弾いて」「速弾き見せて」と言ってくる人がいます。

僕はこういうのは好きじゃありません。

前はしぶしぶ対応していましたが、今は断っています。

自分の存在とか歴史を軽んじられている気がするからです。

ていうかそもそも、これ、失礼です。

失礼なオファーには対応する必要はありません。 

 

こう言うと「サービス精神がない」といわれそうですが、そもそもサービスとは、お金をもらって規定の仕事を行うことを指します。

さらに、それ以上の内容を行うかどうかはあくまでこちら側(お金をもらう側)の裁量です。

お金をもらわずにサービスするのはボランティアですが、それも働く側の意志が優先されます。

サービスを受ける側がお金を払わずに人に何かをさせるのは強要です。

もちろん、その線引きは人それぞれですが、ミュージシャンに「何か弾いて」、芸人に「なんか面白いこと言って」料理人に「料理作って」は失礼だと認識した方がいいでしょう。

相手の仕事や現在に至るまでの歴史にちょっとでも敬意を持っていれば出てくる言葉ではありません。

 

まあ、僕も過去にそんなことを言った覚えがあるのでそれは反省しています。 

 

個人的には「何か弾いて」じゃなくて「セッションしてください」なら全然OKです。

何が違うのかというと……説明はできませんが、前者は「自分を楽しませてくれ」後者は「一緒に楽しみましょう」という感じかな。

セッションなら普通に楽しめますし、レッスンとしても成立します。

 

初見でこの記事を読んだ人は僕を相当頭の固い講師だと思うでしょうが、基本教室では言われたら何でもやってます。

ギターを診てほしいとか、曲を聴いてアドヴァイスがほしいとか、特定の曲がやりたい、エフェクターの使い方を教えてほしい。オーディオを聴かせてほしい、小説の主題について教えてほしい、アメリカにいたときの話が聞きたい……などなど。

レッスン後に小一時間雑談することもよくあります。

ただ、「なんか弾いてください」だけがどうしても嫌なんですよね。

分かる人は分かると思います。

レッスンの流れの中でフォームや弾き方を見せてほしいと言われるのはいいんですが。 

 

これは僕の教室の話ではなく、一般論ですが、人やお店に特別扱いを受けたければ、特別扱いを求めずにルールを守って接しましょう。

それを続けていれば気がつけば特別になっています。

僕が長年通っているあるお店があるんですが、いつもルールや時間を守って淡々と利用していたら、先日気がついたら特別扱いになっていました。

その店は今は忙しくて普通の客は断っているけど、お得意様だけ仕事を受けている状態で、僕もそのお得意様に入っているそうです。

「これだけ通ったから」「これだけお金使ったから」とこちらから特別扱いを申し出たら断られていたでしょう。

 

何にせよ、サービスを受ける側は行儀よく使うべきです。

そこで特別になりたいならなおさらでしょう。

変な話、サービスを受ける自分がちょっと損するぐらいでちょうどいいです。

そうやっていると人間に余裕が出てきて、別のところで得できることもあります。

この辺は等価交換にもつながるのでしょう。