人は何かを成し遂げるために強さを求めます。
腕力、体力、知力、経済力、コミュニケーション力、人脈、知名度、全て「強さ」といっていいでしょう。
それらのひとつ、あるいは複数を身につけ、その強さを武器に目標を達成しようと努力したり、困難に立ち向かったり、人生を謳歌しようとします。
これらが悪いことだとは思いませんが、合理的だとも思えません。
なぜかというと、強さは必ず衰えるからです。
一番分かりやすいのは肉体的な強さでしょう。
筋力や体力は年齢と共に簡単に衰えます。
また、絶頂期にあったとしても、病気にでもかかればその間は一時的にせよかなり衰えます。
経済力も一生続くということは考えにくいし、人脈(友情)もほんのちょっと何かあっただけで崩れるようなはかないものです。
「強さ」とは脆弱で一時的な現象にすぎません。
それに頼ると必ず滅びる(盛者必衰)というのは日本古典文学の主題としてあまりにも有名です。
じゃあどうすればいいかというと、大事なのは一番弱い状態を知るということです。
弱っているときに体がどれぐらい動いて、頭がどれだけ回って、最低限いくらあれば生活できて、どんな仕事ができるのか。
また、友達は誰が残って誰が去っていくのか。
弱くなればなるほどそれがクリアに見えてきます。
一度底を見ておくと、仕事や生活、人間関係の基準がはっきりします。
ちなみに僕は横浜に来てから健康と人間関係で過去最大級のダメージを食らい、しばらくは最低限の生活をしていましたが、回復してからもわりと同じレベルの生活をしています。
もう一回強くなって(体力をつけ、仕事を増やし、人脈を肥やし、お金を稼いで)仕事やプライベートを謳歌しても、どうせまたどこかでここに戻って来るんだったらずっとここでいいか、という感じです。
また、そうやって強さを目指さないことで、めちゃくちゃ楽できることに気づきました。
強くならないことで、時間もお金も労力もセーブでき、しかも最低限の生活さえ受け入れればアップダウンのない平穏な日常がわりと簡単に手に入ります。
たぶん僕より上の人たちは本能的に受け入れられない考えでしょうが、若い人は逆に分かるのではないかと思います。
何を求めて行動するかは自由ですが、強さは必ず衰えるというのは真理です。
それだけは覚えておいて損はないでしょう。