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二十代後半で必ず謎の万能感が訪れるので、その時に頭を押さえてくれる人が必要


八幡謙介ギター教室in横浜

以前どっかで書いた覚えがありますが、人はなぜか二十代後半ぐらいで謎の万能感に襲われます。

自分はもう何でも知っている、何でもできる、やりつくした、といった感覚です。

もちろんこれは錯覚なのですが、二十代後半という独特の年齢からそれに気づかずに本気にしてしまう人も多々います。

それぐらいの年齢なら後輩も沢山いるし、独立して自分がトップに君臨することもできるので、勘違いが加速するケースもあります。

40過ぎて改めてしみじみ思うのは、その二十代後半の危ない時期に頭を押さえつけてくれる人の大切さです。 

先輩、上司、先生、師匠、親……なんでも構いません。 

とにかく二十代後半から三十代にかけて「お前はまだまだだ!」と言ってくれる人がいるかいないかでその先が全然違ってくるということが四十代に入ってよくわかるようになりました。

ありがたいことに、僕にはそういう人が何人もいました。

偶然といえば偶然ですが、30半ばまでずっと誰かに何かを習っていたし、僕自身は後輩を従えるより先輩に構ってもらう方を選んでいたので、とにかくずっと自分より上の人が存在していました。

厳しい人もいれば、ほとんど何も言わない優しい人もいましたが、そこは特に関係なく、とにかく上がつかえているいる感じというか、自分より上の人がいるという意識をずっと持てたのは幸いだったと実感しています。

三十半ばからはもう誰かに何かを習うこともやめ、自分より上の人と付き合うことも減りましたが、二十代後半のあの奇妙な万能感が出てくることは全くありません。

となるとやはり大事なのは二十代後半をどう過ごすかということになります。

最近話題の修行システムの是非について、「修行の意義は二十代後半の万能感を乗り越えるためにある」と言っている人もいるようです。

まあ修行はともかくとして、二十代の若さで能力を打ち止めにしないためには、その時期に誰かに頭を押さえつけてもらうことは絶対に必要だといえます。

 

これを読んで「老害!」と吐き捨てる人も絶対いると思いますが、三十過ぎたらだんだんわかってくると思います。

能力が打ち止めになり、イメージが枯渇して、ただただ歳だけ取っていくアーティスト、クリエイターというのはなかなか悲惨なものがありますよ……。

もちろん、芸術だけでなく一般社会でも同じなんでしょうが。