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遠く遠く/槇原敬之 歌詞解説

「遠く遠く」

作詞作曲:槇原敬之

WEA MUSIC

1992年リリース。

www.youtube.com

主題の提示

遠く遠く離れていても

僕のことがわかるように

力いっぱい輝ける日を

この街で迎えたい

 

サビからはじまるパターン。

ここでまずこの歌詞の主題がはっきりと提示されています。

夢を見て上京した青年、遠く離れた故郷にいる仲間たち、彼らにも自分の存在が「わかるように」きっと成功してみせるぞという決意を表明した歌です。

ポイントは、「力いっぱい輝ける日を この街で迎えたい」と言っているので、主人公はまだ夢を叶えていない、その途中にいるということです。

この辺は後半詳しく解説します。

予備知識として、まだネットも携帯もない時代の歌というのも頭に入れておきましょう。

今なら故郷からどれだけ離れてもSNSで簡単に近況報告できますが、この時代(90年代)は、故郷との距離感は今よりも体感的にずっと遠かったのです。

ちなみに、このサビの歌詞が主人公の<現在>です。

ここから何度か時間の異なる過去に戻り、サビでまた<現在>に戻るという時系列も注意しましょう。

<img src=”city.jpg” alt=”都会”>

回想とメタファー

外苑の桜は咲き乱れ

この頃になるといつでも

新幹線のホームに舞った

見えない花吹雪思い出す

 

冒頭のサビからぐっと<過去>に戻ります。

季節は「外苑の桜」とあるので春です。

この頃になると主人公は「新幹線のホームに舞った 見えない花吹雪思い出す」とあります。

まず「新幹線のホーム」ですが、これは主人公が上京した瞬間のことを指します。

春になると、故郷から新幹線に乗り正に東京に降り立った瞬間のことを思い出す……ということは、今現在まだ上京してそれほど経っていないということでしょう。

「見えない花吹雪」とは、憧れの都会に降り立って夢への一歩を踏み出した瞬間の興奮やワクワク感のことでしょう。

東京に着いた瞬間、まるでこの街が見えない花吹雪で自分を祝福してくれているような感じがしたのでしょうか?

「LOVELETTER」にもありましたが、見えない何かを見るというシーンは槇原氏の歌詞によく出てきます。

k-yahata.hatenablog.com

現在に飛び、成長を描写

まるで七五三の時のよに

ぎこちないスーツ姿も

今ではわりと似合うんだ

ネクタイも上手く選べる

 

ここで前段から一気に時間が進み、<現在>に飛びます。

東京に出てきたばかりの頃はスーツ姿もぎこちなかったけど「今」では着こなせている……つまりそれだけ時間が経ち、都会の生活にも慣れてきたよ、と言っています。

上京から2~3年といったところでしょう。

ということは、そろそろ故郷が恋しくなってくる頃でもあります。

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現在2 決意

同窓会の案内状

欠席にマルをつけた

「元気かどうかしんぱいです。」と

手紙をくれるみんなに

 

ここの時間は前段と同じで、上京後2~3年あたり、主人公の元に同窓会の案内状が届きました。

しかし、主人公は「欠席にマルをつけ」ます。

なぜでしょうか?

後半ではっきりしますが、主人公はどうも成功するまでは故郷に帰らないと決めているようです。

また、簡単に帰郷し仲間と距離を詰めてしまうと、この歌詞の世界観とズレてしまいます。

歌詞の世界観を守るためにも、ここは主人公に涙をのんで欠席してもらわなくてはならないところです。

後半の二行がちょっと分かり辛いですが、これは「手紙をくれるみんなに」が次のサビにかかっていると考えればすっきりします。

「手紙をくれるみんなに」(も)「僕のことが分かるように~」ということでしょう。

サビ 

遠く遠く離れていても

僕のことがわかるように

力いっぱい輝ける日を

この街で迎えたい

 

またサビ。

冒頭で聴くのと、一通り世界観を理解してから聴くのとではちょっと印象が違ってきます。

過去

いつでも帰ってくればいいと

真夜中の公衆電話で

言われたとき笑顔になって

今までやってこれたよ

 

ここで時間は過去のどこかに飛びます。

最初のAメロからは少し時間は経っています。

なにかつらいことでもあったんでしょうか? 主人公は仲間、もしくは親に電話します。

なぜ公衆電話なのかは不明ですが、語呂がよかっただけかもしれません。

しかし、優しい言葉をかけられて、かえってやる気が出てきたようです。

よくあることですね。

<img src=”telephonebox.jpg” alt=”いつでも帰ってくればいいと真夜中の公衆電話で”>

地元描写

どんなに高いタワーからも

見えない僕のふるさと

なくしちゃだめなことをいつでも

胸に抱きしめているから

 

ここで主人公の地元がかなり遠いところにあることが分かりました。

まあそれは歌詞の雰囲気からなんとなく感じられますが。

ちなみに槇原氏は大阪の高槻出身です。

ここのくだりは特に説明することはありません。

サビ、謎の二行

遠く遠く離れた街で

元気に暮らせているんだ

大事なのは変わってくこと

変わらずにいること

 

後半の二行はよく話題になったりします。

わりとはっきりしたストーリーのある歌詞を書かれる槇原さんにしてはめずらしくミステリアスです。

個人的にはこの歌詞はここがポイントではないと思うのでパス。

現状、未来

同窓会の案内状

欠席にマルをつけた

「元気かどうかしんぱいです。」と

手紙をくれるみんなに

 

遠く遠く離れていても

僕のことがわかるように

力いっぱい輝ける日を

この街で迎えたい

 

僕の夢をかなえる場所は

この街と決めたから

 

最後に決意を新たにして終了。

さらっと上手くまとめた印象ですが、最後に改めて主人公の夢がまだ叶っていないということを強調しています。

そうすることで、楽曲の終わりから未来が開けていく感じがするからでしょう。

仮に、夢を見て上京してきた主人公が故郷を想いながら奮闘し、みんなのおかげで夢が叶ってめでたしめでたしと結んだら、曲が終わった瞬間になんとなくリスナーは置いていかれた感じがすると思います。

この曲の主人公は夢を叶えたんだ……自分は……どうしよう?

と不安になるかもしれません。

しかし、最後の最後で主人公は「自分はこの街で夢をかなえると決めたから、これからも頑張る!」と宣言していたら、聴いている人も一緒に「よっしゃ!」となります。

だからこの歌詞の<今>はまだ夢に向かっている途中なのです。

そして、そんな自分を後押ししてくれるのが遠く離れた故郷にいる「みんな」です。

矛盾をさらりと解決する槇原氏の才能

本来、「夢」と「郷愁」は水と油の主題です。

夢を追い前に進んでいる感じを出そうとすると、その分故郷への想いが邪魔になりますし、故郷を想うと停滞感が出て感傷的になります。

しかし「遠く遠く」は、故郷を想いながらも前に向かってぐんぐん進んでいく感じがしっかり出ています。

こんなことができるのは槇原氏ぐらいじゃないでしょうか?

 

「遠く遠く」は、一見単純な『夢応援ソング』のようで、実は相当アクロバティックなことを試している前衛的な楽曲だと改めて分かりました。

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遠く遠く

遠く遠く

 
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