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ダイナミクスと音楽 ダイナミクスがよく分からない人はこれを聴いてみよう


八幡謙介ギター教室in横浜

先日、メタルとダイナミクスについて書いたところバズりました。

k-yahata.hatenablog.com

ところが、なぜか主題が全く理解できていない人がいて困惑してしまいました。

タイトルにもはっきりと「ダイナミクスに対する感性」と書いてるし、ダイナミクスが何かも記事中に書いてあるのに……。

もしかしたら音楽をやっているのにダイナミクスという概念すらよく分からない人が結構いるのではと感じ、今回はダイナミクスを体感しやすい楽曲を紹介することにしました。

 

その前に、再度ダイナミクスとは何か?

簡単に言えば音が大きくなったり小さくなったりすること、その振り幅のことです。

例えばギター一本でイントロが始まり、その後ベースとドラムが入って来るとしたら、そこでダイナミクスが小→大に変わったと言えます。

このダイナミクスの振り幅が豊かな音楽ほど価値が高いとされます。

なぜかというとその方が聴いていておもろいからです。

もしそう感じられないとすれば、その人はまだ音楽を聴く(演奏する)感性が未熟です。

 

さて、そんなダイナミクスに対する感性を刺激してくれる楽曲をロックから探したので、お聴きください。

といっても公式動画がないのでここには貼れません。

ご自分で検索するか、購入してください。

 

 

Little Wing / Stevie Ray Vaughan

www.youtube.com

アンサンブル全体のダイナミクスに注意しながら、ギターとドラムの関係をよく聴くと、ギターに合わせてドラムが実に細やかにダイナミクスを調整しているのがわかります。

ギターのフレーズがほんの少しソフトになると、ドラムもそれに合わせてすーっとダイナミクスを落とします(そのときの楽器選びにも注目)。

そして、ギターが次のコーラスでガツンと行くだろうなと予測したら、コーラス終わりからエスカレーターのようにすーっとダイナミクスを上げていき、サポートします。

そしてマックス状態からソロがすーっとダイナミクスを下げていくと、またそれにきっちり合わせていき、手数の多いスネアがリムショットに変わったりと場面の違いを演出します。

これが何度か続いてエンディング。

バラードなのにまるでジェットコースターのようなダイナミクスの変化を体験できる秀逸な楽曲です。

この曲を聴いたことがあるのに、そうしたダイナミクスの変化に気づかず、「このギターかっけえ!」としか感じなかったとしたら、残念ながらダイナミクスに対する感性が鈍いと言わざるを得ません。

 

Little Wingが入っているアルバムはこちら。

The Essencial Steavie Ray Vaughan
The Essential

The Essential

 

 

 

Silent Jearousy / X Japan

youtu.be

こちらもダイナミクスの変化が秀逸な楽曲です。

まずピアノソロではじまり、そこからメタル調の激しいイントロに入り、ダイナミクスががらりと変化します。

ギター→バンドよりピアノ→バンドの方がダイナミクスの変化が強く感じられます。

サビまではそのまま続きますが、僕が好きなのはサビ終わりからギターソロまでの構成。

一度ギターが抜けてベースとドラム(キックとハイハット)中心になり、ポエトリーリーディングのようなセクションになって「お、何だ何だ?」と思わせます。

そこからギターがオーケストラのように入ってき、「こっから行くのか!」と思いきや今度はピアノが入って、テンポはハーフに落ち、ドラムのYOSHIKIフレーズが炸裂、またギターが入ってきて「うおー、今度こそ行くだろ(ハアハア)」と待ち構えていたらまたもやフックのようなフレーズが入り「じ…じらすやん(ハアハアハア)」と待たされ、するとまたギターのキザミが入り「今度こそ…今度こそ(ハアハア)」と期待していたらそのままギターソロに突き抜け「行ったーーーー!」というカタルシスが感じられます。

YOSHIKIさんの音楽性の高さがうかがえます。

Jealousy

Jealousy

 

余談ですが、Xをメタルだと言うと切れる人が多いのですが、それ自体がメタラーのダイナミクスに対する偏狭な感性を物語っていると僕は思います。

せっかく音楽やってるのにそれだともったいないからもっといろんなのを聴こうよ、と言っているだけなのですが、なぜかそれが理解できない人がいて困惑します。

 

自分の音楽性の幅を広げたい人は、このようにダイナミクスに注意して音楽を聴いてみるといろんな発見があると思います。

もちろ、あえてダイナミクスを一定にした音楽もそれはそれでありです。

どっちか一方だけだともったいない、というだけの話です。