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アドリブ中級者が克服するべき「○○感」


八幡謙介ギター教室in横浜

アドリブがある程度できるようになってくると、次のような症状が必ず出てきます。

中級者のアドリブは、それらを克服することが課題となります。

コードを追っかけてる感 

どちらかというと初心者に近い症状です。

ペンタ一発、スケール一発から脱却しはじめて、コードトーンを使えるように訓練していく最初の過程で必ず出てきます。

ある意味、コードトーンを正しく使えている証拠ではあるのですが、その正しさが音楽的に正しくなく、コードを一生懸命追っかけているように聞こえてしまいます。

といっても最初からコードを追っかけてるように聴かせない自然なアドリブはできないので、皆必ずこの「コード追っかけてる感」から入ってそこを克服していきます。

頑張って練習してきました感 

これも比較的初心者よりの方に多い症状です。

今弾いている内容を「頑張って練習してきました!」というアピールが出てしまっているアドリブです。

もちろん、頑張って練習するから上達するんですが、それが演奏に出てしまうとNGです。

リスナーに練習風景を見せない、想像させないようにするためには、もうひと苦労が必要となります。

この辺から、アドリブはただ音を並べているだけじゃなくて、自分の精神状態も深く関係してくるということが分かってきます。

弾きすぎ感

文字通り弾きすぎです。

ある程度アドリブに慣れてきて、手持ちのフレーズも増えてくると、必ず弾きすぎてしまいます。

特にギター、ピアノなどの息継ぎのない楽器に多い症状です。

何故こうなるかというと、休符の間が怖いからです。

その恐怖感を抑えようとして音符で埋めてしまうのです。

こうした症状の人には、強制的に休符を入れる訓練をしてもらいます。

例えば1フレーズ弾いたら必ず4拍以上休符を入れる、とか。

余談ですがコルトレーンとかはまた全然次元が違うので別の話です。

Ⅱ-Ⅴドヤ感

これは中級の中級あたりで出てくる症状です。

いろんなコードチェンジに対応できるようになってき、自分だけのⅡーⅤを模索しだすとそのうちⅡーⅤドヤ感が出てきてしまいます。

他のところはそうでもないのに、やたらⅡーⅤだけ格好いいフレーズが飛び出し、そこが全体から浮き上がって聞こえてしまう症状です。

これが出てくると、あえてⅡーⅤを無視した弾き方を練習していくようにします。

そうするとⅡーⅤドヤ感は落ち着いていきます。

インスタント感

この辺にくると中級の上級となります。

だいたいどんなコードチェンジでも攻略できるようになってくると、「はいはい、こう弾いたら合うでしょ?」とインスタントにフレーズを当てはめるようになってきます。

その結果、アドリブ全体から精気がなくなってき、流れ作業みたいになってきます。

この症状に気づかずに音楽を仕事にし始めてしまうと後々苦労します。

このインスタント感を消すためには、音楽に対する認識を刷新し、人間として成長しなくてはなりません。

だからかなりやっかいな症状だと言えます。

ちなみにジャズの世界ではこの「インスタント感」をプロの余裕だと勘違いされている節があります。

 

いずれにせよ、アドリブ中級者以上の症状は、単に記号やタイムをなおすだけでは克服できないという共通点があり、そこが非常にやっかいなのです。

上記の症状を克服しようと一生懸命練習している人は、記号やタイムではなく、弾いている自分を一度見つめてみましょう。

そうすると、休符を極端に怖がっている自分や、ⅡーⅤだけに固執している自分が見えてきたりします。

そうして問題が見えれば自分でそれに取り組んだり、的確にアドバイスしてくれる先生を探すことができます。

 

別の見方をすれば、アドリブで記号やタイムで解決できない問題が出てきたとき、自分は中級者になった、より深いアドリブの世界に入ったと考えていいでしょう。

そこからがまた長いのですが……