名サイドマンとして名高いコーネル・デュプリー(Cornell Dupree)というギタリストがいます。
一般的な知名度はあんまり高くなく、実は僕も数年前まで知りませんでした(音は聴いたことあるはずですが)。
ギタリスト同士で話していても名前が出てくることはほとんどありません。
先日「そういえばどんなギター弾くんだっけ?」と思い立って検索し、一番最近のリーダーアルバムを聴いてみることにしました。
ちなみにコーネルさんは2011年に亡くなっているのでこれが遺作となります。
ドキドキしながら聴いてみると、「おー!…ん?……あれ……??」となんか変な感じがしました。
そのもやもやがアルバム最後までずっと続きます。
いや、そんなはずはない!ともっかい聴いてもやっぱりもやもや……。
といってもグルーヴは強烈だし、サウンドもいい、ギターも僕が好きな黒人っぽいエッセンスが凝縮されています。
で、3回目ぐらいでやっともやもやの原因が分かってきました。
それは、リーダーアルバムにもかかわらず、コーネルのソロにキラーフレーズがひとつもなくて、しかもどれも結構短くさらっと終わっていることです。
だからか、一曲聴いても誰がリーダーなのかよくわかりません。
たぶんサイドマンとしての経歴が長すぎて、あるいはサイドマンとして優秀すぎてそうなってしまったのでしょう。
もしかしたら最晩年のこのアルバムだけなのかもしれませんが。
改めてコーネルが一般リスナーはもちろん、ギタリストの間でもあんまり語られないことに合点がいきました。
同時に、コーネルがサイドマンとして重宝されてきた理由も納得しました。
インスト好きのリスナーは、無意識的にキラーフレーズを求めているのでしょう。
ギターでいうと、グラント・グリーン然り、メセニー然り、イングヴェイ然り、人気のあるギタリストは必ずキラーフレーズを持っています。
もちろん、それ一発だけで他がダメというのは論外ですが、インストでリーダーとして輝くためには、ギタリストとしてきちんと仕事ができて、その上でキラーフレーズも持っていないとダメなんだと改めて理解できました。
インストでリーダーとしてバンドを率いたい人はその辺も考えてみるといいでしょう。
色々と考えさせられたアルバムでした。