八幡謙介ギター教室in横浜講師のブログ

ギター講師八幡謙介がギターや音楽について綴るブログ。

バンドだけどバンドに見えない現象


八幡謙介ギター教室in横浜

先日、芸能関係で裏方をしている生徒さんとある話題で盛り上がりました。

それは、バンドに見えない問題です。

 

例えば、あるソロ歌手とバックバンドがライブをしているとします。

ステージセットやパフォーマンスなど、一生懸命バンド感を出しているのはわかるんですが、どうみてもヴォーカルと楽器隊に溝というか温度差があり、ヴォーカル+楽器隊という風にしか見えません。

まあそれならまだ頑張っているのが分かるのでいいんですが、もっとひどいのになるとその頑張りすら放棄して、完全に引いたところで演奏しているバンドもあります。

生バンドでパフォーマンスするアイドルのライブなども観れば一目瞭然でしょう。

 

また、プロにはあまりありませんが、アマチュアバンドなどで明らかに結束が緩いグループも、やはりバンドに見えないことがあります。

そういうバンドは後で聞くと、『この人だけなんか違うな』と感じたメンバーがサポートだったりすることがよくあります。

プロでもサポートメンバーや新メンバーだけバンドでちょっと浮いて見えることはあります。

そういう人(特に正規メンバーで入ったのに浮いて見える人)はわりとすぐ脱退してしまいます。

たぶん解雇でしょうが…。

それぐらい、観客として観れば明らかに違って見えています。

 

これはいったいどこから生まれる現象なのか?

同じステージで、同じ衣装を着て、ひとつの楽曲を一緒にパフォーマンスしているのに、なぜ浮いて見えたり、フロントマンと断絶して見えるのでしょうか??

まず、技術やリハーサルの密度ではないことは間違いありません。

そうした要素でバンド感が強くなるのなら、プロは皆バンドに見えているはずです。

では、ソロアーティスト+バックバンドがバンドに見えず、いわゆるバンドがバンドに見えるのはなぜなのか?

それはおそらく、一緒に過ごしてきた時間の密度と、そこから生まれる見えない結束感でしょう。

考えられるのはそこしかありません。

ソロアーティストとバックバンドがどれだけ密にリハーサルをこなしても、どれだけちゃんとコミュニケーションを取っていても、所詮は仕事上のことです。

まあ良くてプライベートでご飯に数回行ったりラインしたりぐらいでしょう。

バンドはその何百倍といった時間を一緒に過ごしています。

そこから見えない(けど見える)結束感が生まれ、それが違和感のないステージになるんでしょう。

もっと身近なところで言うと、見ただけで夫婦とか恋人だと分かるカップルっていますよね?

別に手をつないでいるわけでもなく、いちゃいちゃしていなくても。

それもバンドと同じで、一緒に過ごしてきた時間がにじみ出ているのでしょう。

 

と、こんなことが分かってきたのはごく最近です。

音楽関係者でもこの話が出来る人は若くても30後半でしょう。

若い人は分からなくて当たり前ですが、でもちょっと気になったらそういった観点からライブを観てください。

歳をとれば『これか!』と分かる日が来ると思います。

 

余談ですが、アイドルって新メンバー入れてもすぐ溶け込むんですよね……。

でんぱ組のねもちゃんとぺろりんもほとんど最初のステージから溶け込んでたし。

そういった意味でアイドルは本当に凄いと僕は尊敬しています。