ギターの運指がうまくいかない、あるポイントでどうしても詰まってしまうという場合、ほとんどの人はその箇所をどうにかしようとします。
それで解決するケースもありますが、多くの場合はどうにもなりません。
なぜかというと、問題はその前にあることが多いからです。
レッスンでいつも教えていることですが、ギターの運指では親指を一ヶ所に固めずに必ず他の指と一緒についてくるようにします。
そうすることで左手全体の自由度が格段に高くなるからです。
逆に一度でも親指が固まるとそこで左手全体が固まってしまいます。
これについては「ギタリスト身体論」で詳しく書いています。
さて、フレーズのある部分で左手がどうしても固まってしまうということがわかったとします。
僕がレッスンでみてきたかぎりでは、ほとんどの場合はその箇所以前に既に左手が固まってしまっています。
そうして固まったまま問題の箇所に突入するから弾けないのです。
だからそういうときは問題の箇所からさかのぼって弾いてもらいます。
そのとき、親指に注目します。
すると、たいてい問題の箇所の直前で親指がついてきていないことがわかります。
そこのフィンガリングを矯正し、親指を開放してやると、99%その後の問題の箇所がスムーズに弾けるようになります。
問題ばかり凝視しているとかえってその問題が見えなくなるということはギター以外でもよくあることです。
視野を広げて、一度周りを見渡してみたり、時間をさかのぼってものごとを考えてみると解決法が見えてきたりします。
そういったことはなかなか自分では分からないものですが……。
とにかく、こうやって運指の流れをよくしてやると、ギターの左手の問題はおどろくほどさらさらと解決していきます。
まあこれは10年以上前からやっていることなので個人的にはもう当たり前になってしまいましたが、改めて書いておきます。