ジャズの習得において一番難しいのはバッキングです。
というのは、バッキングは基本受け身だからです。
ソロはある意味わがままになることもできるし、自分がこうしたい、自分はこう思う、と自分の欲求を掘り下げ、それを出せるように練習していくことができます。
しかし、バッキングは相手ありきです。
だから自分の好きなヴォイシング、自分の好きなパターンだけを使うということは基本できません。
しかも、ソロの内容は相手によって全然違ってきます。
ブルージイな人、バップな人、アウト好きな人、音を詰め込む人、間を大切にする人……100人いたら100通りのソロがあります。
そして、そのための対策というのは基本ありません。
バッキングを上達するためには実際にいろんな人のバッキングをするしかないのです。
だから僕の教室では基本バッキングの練習はしません。
ネタはいくらでもありますが、それを一人で練習していても仕方ないし、ずっと僕を相手にバッキングしているだけでは意味がないからです。
バッキングを教えるとしたら、セッションに積極的に参加することが条件となります。
それができないとしたら、バッキングの練習場所がないので、教える必要はないと僕は考えます。
ただし、バッキングを練習せずにバッキングが上達する方法は一つだけあります。
それはソロを練習することです。
自分のソロがしっかり弾けるようになってくると、だんだん「ここで伴奏にこう来てほしい」という欲求が出てきます。
そうなると、ソロの気持ちがわかってきます。
ソロの気持ちが分かってきたらそれを満たすバッキングが見えてきます。
もちろん、最終的にはセッションで試さないとダメですが、バッキングを自宅であれこれ練習するぐらいなら、ソロの練習に徹した方がいいと僕は思います。