俳優のケビン・ベーコンがエレキギターの歴史と魅力を紐解いていく作品。
Netflixでなんとなく視聴しはじめて、すぐにのめり込んでしまった。
テンポがよく、かといって重要な歴史的出来事をスルーせずしっかりと押さえてあり、ギターの歴史がすらすらと入ってくる。
しかもアメリカの作品らしく、楽器や機材の開発者、ギブソンCEO、各楽器を愛好するミュージシャン(スラッシュ、BBキング、レスポール、ルカサー、その他驚くほど多数)など当事者たちが次々と登場するので観ていてワクワクさせられる。
また、骨董品級のヴィンテージギターもわんさか出てきて、しかもそれらを一流のプレイヤーたちがスタジオ等でプレイする映像が盛りだくさん。
それらがいちいちいい音していてほれぼれする。
ヴィンテージフリークも唸る内容となっている。
一方で最新のデジタルギターにも焦点を当てていて、視点も公平だと感じた。
また、本作はギター界のスーパースターだけでなく、比較的マイナーなギタリストやアマチュアプレイヤー、コレクターも多数登場し、様々な立場からギターの魅力を分析しているところも良心的だろう。
限られたスターや開発者が一方的に「ギターはこういうもんだ」と説教するような内容ではない。
そういった意味で非常に現代的なドキュメンタリーだといえる。
ただ一点、イスラム圏のギタリストを「抑圧されている市民とそれを解放するためのギター(=アメリカ)」という文脈で登場させたのは非常に政治性を感じた。
まあ、そこもほんのちょっとなのでそれほど気にはならなかったが。
ギター初心者も上級者も、ヴィンテージフリークもアンチヴィンテージ派も、懐古主義者も進歩主義者も、プロもアマチュアも等しく楽しめる上質の作品だった。