ジャズではそれぞれがソロを取るとき即興(アドリブ)で行っていることはよく知られています。
ではソロ以外のセクションではどうなのか? また、誰かがソロを演奏しているとき伴奏者は何をしているのかというと、ちょっと聴いただけではわかりません。
そこで今回はソロ以外のセクションや、伴奏のパートが何をやっているのかをざっくりとご説明します。
各セクションについてはこちらを参照してください。
まず、ジャズの演奏ではどのパートも、どのセクションでも基本的にアドリブで行われます。
100%譜面通りに演奏することはありません。
ただし100%アドリブというわけでもなく、「これだけは守らないと演奏が成立しない」というポイントがセクションやパートごとに存在します。
キュー(ここから曲に入りますよ)がはっきり理解できれば何をやってもOK。
ただし、これから演奏する楽曲のイメージを壊すようなものはNG。
原形をとどめていればOK。
中には原形すらわからない演奏もある。
テーマを記号としか捉えていない人もいれば、歌詞を大切にしてできるだけ原曲通りに演奏する人もいる。
ジャズミュージシャンの音楽感が一番出るのがテーマ。
基本としては、コード進行に沿っていれば何をやってもいい。
しかし、コードから<逸脱>することも古くから行われていて、じゃあどこまで<逸脱>していいのかという線引きはできない。
また、アドリブとはいいつつも毎度毎度同じようなことをする人もいる。
ソロが即興で行われるので、当然それに合わせるかたちで伴奏も行われる。
だから伴奏もアドリブとなるが、あくまでソロが<主>であり伴奏は<従>であることが基本。
ただし時代やプレイヤー、バンドの方向性によってはソロに対して服従するだけでなく、伴奏の方から積極的にいろいろと仕掛けていくこともある。
このへんのせめぎ合いが聞けるようになると楽しい。
どこで終わるかをはっきりと示せれば何をやってもOK。
実際はいくつかあるパターンの中からピックアップする形になりがち。
以上、ざっくりとですが場面場面でのアドリブの度合いをご説明しました。
このように、ジャズの演奏ではどのパートも常にアドリブの要素が入っているのですが、その中でもセクションやパートで「守るべきもの」と「破るべきもの」の度合いが変わってきます。
また、時代やプレイヤーによってもそれが変わってきます。
そのへんが分かるようになるとジャズは楽しめるようになってくるのですが、やはりある程度の勉強と忍耐は必要となってしまいます。
本シリーズでもいずれ楽曲の詳細な解説を行いますのでしばらくおつきあいください。