ジャズをはじめて聴いた人は、だいたい「なにをやっているのかわからない」と感じるようです。
確かに、僕も最初はそう思ったように記憶しています。
ここで、「じっと聴いていたらわかってくるよ」 とか、「わからなくてもいい、感じるんだ」と答えてしまえばおそらく多くの人はめんどくさくなって離れていくでしょう。
そこで、まずジャズの楽曲の基本構造を分かりやすく解説したいと思います。
以下は一般的なジャズの楽曲で、頭から順番に起こる出来事をまとめてみました。
ちなみに、下記タイトルは和製英語としてのジャズ用語です。
これはそのままの意味ですが、他の音楽と違うところは、ジャズではイントロも即興で出しているところです。
即興でみんながきちんと入れるようにイントロを出すのはなかなか難しいので、ここはプレイヤーの腕の見せ所でもあります。
音源を再生したら一番最初にひとつの楽器(だいたいピアノ)が一人で何かはじめてる箇所がイントロです。
イントロがない楽曲もあります。
イントロが終わったら次に「なんかみんなで合わせてるっぽいな~」というセクションが来ます。
そこがテーマです。
ジャズの楽曲では、最初にみんなでテーマを演奏して、それが終わったら個々にソロ(アドリブ)を回していきます。
楽曲についているタイトルはこのテーマ部のことです。
例えば「Autumn Leaves」という曲なら「Autumn Leaves」というテーマを演奏してその後ソロを回してアドリブしますよ、ということです。
ちなみに、最後まで聴いているとまたテーマが出てきます。
テーマは最初と最後にやるのが決まりです。
さて、テーマをみんなで演奏し終わったらいよいよアドリブを回していきます。
といっても好き勝手にやっていいわけではありません。
アドリブはテーマのコード進行に沿って行われます。
テーマで「Autumn Leaves」をやっていたのにアドリブになると別の楽曲を演奏するということは基本ありません。
ただ、ジャズではきっちりかっちりテーマのコード進行通りに弾くのではなく、わざと音を外したりします。
ここがジャズのジャズたるところでしょう(私が言う<逸脱>です)。
その音の外れ具合も時代やプレイヤーによって違ってきます。
極論すれば、ジャズを楽しむということは、アドリブで個々のプレイヤーがどう外すのかを楽しむことです。
そのためにはやはりある程度耳が肥えていないとわからないし(といっても絶対音感とかは不要)、いろんなプレイヤーを聞き比べないと違いも見えてきません。
だからジャズファンは自然と沢山の音源を聴くことになります。
ジャズが衒学的、オタク的になってしまうのはそのせいでしょう。
「バース」とは「小節」を意味するbarsがなまった和製英語です。
4バース=4小節、8バース=8小節という意味になります。
ジャズ用語としては、各楽器とドラムで交互にソロを繰り返すセクションのことを指します。
これは必ずアドリブの後に来ます。
例えば、ドラム、ベース、ピアノ、サックス、トランペットの編成で演奏し、それぞれのアドリブの後に4バースに入ったとしましょう。
まずサックスが4小節ソロを取ります(別にトランペットからでもピアノからでもかまいませんが、例として)。
このときは伴奏(上記の編成ならドラム、ベース、ピアノ)が入ります。
次にドラムが4小節ソロを叩きます。
このドラムソロは文字通りドラムだけで行われます。
次にピアノソロ4小節(伴奏あり)、そしてまたドラムソロ4小節(ドラムだけ)を繰り返します。
この一連の流れももちろんテーマに沿って行われます。
最初にみんなで演奏したテーマを最後にもう一回行います。
これがいわば終わりの合図みたいなもんです。
ラストテーマが終わったらなんらかのエンディングを行います。
これも形式があったりなかったりと様々ですが、多くの場合は即興で行います。
イントロ
一番最初のところ。
テーマ
なんかみんなで合わせてるっぽいところ。
アドリブ
一人一人なんかやりはじめた(長い)。
○バース
交互にドラムソロが入ってきた。
ラストテーマ
もっかいみんなで合わせてる。
エンディング
終わった。
だいたいこんな感じです。
この一連の流れ(1曲)で7分から10分ぐらいあります。
正直、現代の感覚からすると長いし意味分がわからないと思います。
とはいえ、ジャズとはだいたいそういうものなので、この辺は慣れていくしかないですね。
分かってくると1曲なんてあっという間に終わってしまうぐらい楽しめるようになりますが、そうなるまでは忍耐と勉強が必要となります。
やはりジャズは難しいですねw
少しずつ慣れていきましょう!